南インドで初日の出&初詣で
日本式のお正月もよいですが、たまには気分を変えて新年を海外で迎えるというのも良いのではないでしょうか?
私たちは南インドと東インド16日間の旅の途中、第9日目にインド最南端の地、コモリン岬で新年を迎えました。実は、ツアーの前半は2005年の締めくくりの日(大晦日)も含め、度重なるハプニングに見舞われて来ました。そんなことも少しは影響したのでしょうか、インド最南端の聖地に立ち、新年こそは、いいことが沢山あるように聖なるインドの神様に願いたいといった思いが自ずから涌いてきました。南インドを巡りながら、神々を祀るために造られた素晴らしいヒンドゥ建築の数々に圧倒され、信心深く敬虔な南インドの人々を目の当たりにしていると、不思議なことに、普段から神に祈ることなど殆どない自分でも、インドの神様を心から信じてみるのもいいかも知れないという思いになるのです。神秘の国インドの中でもとりわけ深い信仰心を持つ人々が多いのが南インドです。ここでは、神は大いなる存在でありながら常に人々の身近にいて心の支えとなっています。そのように神とともにあるインド人の生き方や考え方を少しでも理解できたらといつも思うのですが、それは生きてきた環境が違うのでなかなか難しいのが正直なところです。
さて、元旦の日の早朝、私たちは、ベンガル湾、インド洋、アラビア海の3つの大洋が一つになる聖地コモリン岬に立ち、初日の出を拝みました。青く澄み渡る海から、赤々と燃える太陽が昇り、少しずつ顔を見せたとき、巡礼の人々の群れの中にいた私も、美しい初日の出に思わず感嘆の声をあげ、両手を合わせ祈りを捧げました。そして遠方からはるばるここまでやって来たという家族連れの人々や地元の若者たちに「ハッピー・ニュー・イヤー!」を交わし、新しい年の始まりをこの地でともに祝うことが出来た喜びを分かち合いました。
そして、新年二日目は、極彩色の塔門(ゴープラム)が屹立する南インド最大規模のミナ-クシ寺院(マドゥライ)での「初詣で」と相成りました。今年も日本の寺社への初詣では出来ませんでしたが、ヒンドゥ教の神々に2006年が幸多く素晴らしい年になるよう、ツアーが無事に滞りなく進むよう、お祈りをしてきました。とは言ってもここは厳格なヒンドゥ教寺院。異教徒が主神を祀る神殿に立ち入ることは禁じられています。広大な敷地の中に複合建築としての寺院が建ち、その中の一角にシヴァ神と同一視される土着のスンダレーシュワラ神を祀る神殿とシヴァ神妃のパールヴァティと同一視されるミナークシ女神を祀る神殿がそれぞれ独立してあります。そこに入ることが出来るのは、ヒンドゥ教徒のみ。信心深い我らがガイドさんに神へのお供え物を託し、皆のために代表としてお祈りをしてきてもらいました。広大な寺院の境内には、二つの神殿以外にも幾つかの祠堂があり、大小様々な神々の彫像や浮き彫りがあり、ヒンドゥ寺院の荘厳な雰囲気を味わいながら参拝をすることができます。
さらに、この日の夕刻にはタンジャーヴールのブリハディーシュワラ寺院で夕方の「プージャ(礼拝の儀式)」の見学を体験するという滅多に無い機会に恵まれました。荘厳な雰囲気の中、神に仕えるヒンドゥ教の僧が火を使った儀式を執り行います。儀式の最後には、飛び入りで儀式に参加させてもらうことになった私たちにも、火のついたランプを頭の上で回すという方法で、祝福を与えてくれました。
こうしてヒンドゥ教スタイルで迎えた私たちの新年は始まったのでした。
その後も、長いツアーは続きましたが、神様の御利益だったのでしょうか、ハプニングは殆どなく、進みました。そして、インドの世界にどっぷりと漬かったお客様の皆様と共に、無事に日本に帰国することができました。 (江崎 映理 )
| 固定リンク
「アジア情報」カテゴリの記事
- 地上からも上空からもヒマラヤ山脈とアンナプルナ山群を堪能!(ネパール)(2017.12.28)
- 酸っぱいけど甘辛い?カンボジアの「お漬け物」(2017.12.27)
- お釈迦様入滅の地、クシナガルへ(2017.12.15)
- ネパールの生きた女神、クマリにびっくり!(2017.10.20)
- 幸せの国ブータンに幸せを運んだ日本人がいた!(2017.09.07)
「世界の宗教情報」カテゴリの記事
- ウズベキスタンの古代仏教都市テルメズ訪問。故加藤九祚先生の功績にも触れました。(2017.10.24)
- 多様性の中の統一(インドネシアの宗教観に触れる旅)(2016.11.08)
- ドイツでロマネスク探し(2016.11.02)
- ルーマニアの祝日、聖母マリア被昇天祭(2016.09.09)
- お釈迦様の誕生日に行われる、釜山・三光寺の提灯祭り(韓国)(2016.06.07)
コメント