アルゼンチンのいい男、ガウチョ
ブエノスアイレスから風になびく豆畑やトウモロコシ畑を車窓にやりながら、80キロ離れた郊外の大牧場エスタンシア「サンタ・スアーナ」に到着。私たちの参加するフィエスタ(牧童祭)はパタゴニア・ハイキング17日間の旅の最後の観光地となりました。
大きなユーカリの並木を抜けて、ウエルカムワインでひと休み。遥々郊外に来ただけあって、空気も美味しいです。会場の外にある昔ながらの炭火の大きな網の上では、バンザイしてるのかのような羊と鶏の丸焼きが、匂いも色もいい具合に焼けています。
食事が始まる前には、皆さんで乗馬体験を楽しみました。私の馬は文字とおり道草ばかりムシャムシャ。ちょっと手綱引くと怒ったのか、鼻息をブルブル言わせ駆け足になり内心ヒヤヒヤしましたが、ガウチョ(アルゼンチンのカウボーイ)の見事な手綱裁きによっておとなしく列に戻り一安心。ガウチョ一人で10頭以上の馬を自在に操ってしまうのです。
昼食はアサード(丸焼き)です。ガウチョにレディファーストでサーブしてもらい、サラダやデザートもそっちのけで牛肉、羊肉、鶏肉と心ゆくまで味わいました。
食後に歌と踊りのショーが始まりました。アルゼンチンの代名詞ともいえる官能的なタンゴ。そして入植時代を思わせる男らしく激しいガウチョのステップダンス。
盛りだくさんのフィエスタの最後は、野外でのガウチョショーでした。ぶら下がった小さなリングを手に持ったピンに通すという遊びなのですが、疾走する馬に乗って瞬時に射止めるのは至難の業。見事射止めたリングは気に入った女性にあげて、お礼に両頬にキスを貰うのですから真剣そのもの。つまらなそうな男性陣をよそに大盛り上がりの女性陣。その後もガウチョと乗馬するなど(これも女性のみ)、すっかりガウチョに魅せられてフィエスタは終わりました。
この私達を虜にしたガウチョ。もとは原住民と入植者の間に出来た子として差別を受け、人里離れたところで孤高に暮らすカウボーイでした。当時はならず者の印象で人々に怖がられていましたが、独立戦争時などにはその勇気さと男らしさが評価され、現在では「ガウチョ」という言葉を「英雄」、「勇猛果敢な男」の意味を込めて呼ばれます。
女性の皆さん、ガウチョに会いにアルゼンチンへ行きませんか? (山口 明子)
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