シチリアの遅い春とエトナ山
始終天気に恵まれたのですが、半島南部はまだぴっしりとした冬の冷たさの残る青空だったのに対してシチリアのメッシーナに渡った途端に山際も海際も柔かくぼやけた輪郭を帯びてぐっと春らしくなりました。シチリアにはもともと春秋がなく、寒い冬が尽きたらいきなり夏がくるといった印象です。が、今回はその間のわずかな期間、迷いながらも南国の太陽は徐々に冷たい大地を温めて名物の柑橘類を黄色やオレンジに実らせていくまさに移行期間にあったようでした。
タオルミナの市民公園に囲まれたようなホテルには今年初捕りのオレンジをたわわに盛った籠があちこちに置いてありました。テラスからはヨーロッパ最大の活火山エトナが見晴らせます。
標高3323mのエトナ火山は紀元前693年に大噴火したという記録に始まって、しきりに大爆発を繰り返し観測のために国際火山研究所も建てられています。1969年の大噴火では麓から70kmも離れたカターニャの町まで溶岩が押し寄せ、その海岸線を50kmも押し出してしまったといいます。1983年、2002年にも大噴火をおこし溶岩流が麓の村を襲うのを防ぐため、ダイナマイトをしかけて溶岩流の流れる方向を変える作戦がとられました。そんなギリシャ神話の鍛冶の神が今も活発に活動を続ける火の山エトナ。白い噴煙を絶え間なくあげながらも遠目には穏やかな美しい稜線を描いており、アーモンドの花が白く縁取ってました。通常は2月にシチリアに春の到来を知らせるこの花を4月に見られるなんてラッキーでした。今からシチリアは海も青みを深めてゆき、実りの初夏がやってきます。(山口 葉子)
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