2006年4月13日 (木)

エチオピア南部少数部族の民家を訪問して

0413ethiopia 先日エチオピア物語17日間の旅より帰国致しました。
今回の旅は、エチオピアの南部と北部を一気に巡るというものでした。エチオピア正教の教会を辿り、独特のエチオピアの教会美術に触れ、人々の信仰の深さを目の当たりにした北部の旅を終え、後半の南部へ向かうと、まるで異なる国のように景観も自然も人々も何もかも大きく変容することに驚きます。人も自然も風景も全てにおいて衝撃的な南部の旅でしたが、とりわけ私の心の残っていることを徒然にご紹介させて頂きます。

82 以上もの民族がひしめき合って暮らしているこの国ですが、国の南部には我々と同じ時代に彼らが生きていることが俄かに信じ難いほど非常に原始的な生活を送っている人々がいます。特に南東部のオモ川流域では、それぞれ独特の奇異な風習を持った様々な部族に出会うことが出来ます。
木枝や土、家畜の糞、藁などで作られた彼らの質素な住処や放牧や耕作を生業とする彼らの生活は数千年前の我々の祖先とさして変わらないと思われます。
裸同然の格好で身体に奇抜なアクセサリーを身に付け、様々な文様を肌に刻み込んでいる彼らの姿には、思わず魅了され、シャッターを切りたくなります。しかし、誇り高き彼らは我々が好き勝手に撮影することを許しません。つい20~30年前まで殆ど閉鎖されていた南エチオピアの社会では、物々交換が主流の経済で、原始的な人々が貨幣を手にすることなど無かったのですが、現代の貨幣経済に接したエチオピアの少数部族は、一人1枚あたり1~2ブル(13~26円)程度のカメラ撮影料もしくはモデル料を我々旅行者に課し、そのようなお金で副収入を得ています。こうしていつか観光客というのは自分たちにお金や物を恵んでくれる存在という固定概念が彼らの中に悲しいかな形成されてしまったのでしょう。村を訪問する際、村人との会話は「ポト(写真)!」や「ブル(エチオピアの通貨単位)!」と言ったものに偏りがちで、これだけでは真の交流とは言えないなあと、少しばかり残念に感じていた私は、裸族の一つエルボレ族の村で思い切って村の子どもたちの中に入っていきました。私を取り囲んだ彼らは、服の袖を引っ張ったりしながら、はじめは口癖のように「ポト、ポト(写真撮って)!」と繰り返していましたが、私が「一緒に遊ぼうよ!」と身振り手振りで示したところ、彼らはその部族の伝統的な歌を口ずさんで教えてくれました。すると、私にも「歌って」と言ってきます。簡単なフレーズを繰り返すだけのその歌は、どうやら彼らがしょっちゅう歌っているものらしく、彼らと一緒になって私が歌うと、とても喜んでくれたようで、きゃっきゃと楽しそうに笑ってくれました。ある男の子は「ねえママ、このお姉さん、僕らの歌を歌ってくれたよ!」(←多分このようなことを言っていたのだと思います)とお母さんにも報告。お母さんも一緒に身体を揺すりながら歌ってくれました。
さて、もう一つ印象的だったのは、ハマル族の民家訪問でした。今回のツアー全体を通じて英語ガイドを務めてくれたT.G氏は、特別にご自分が大学時代に実地研究を行ったハマル族という少数部族の村へ案内して下さいました。我々が訪れたとき、大人の男性たちの姿は全く見えませんでした。放牧中心の生活を営む彼らは、日中は牛の大群を連れて牧草地へ繰り出しているのです。村に残るのは女性や子供たちだけ。我々は、電気も水道もテレビもなく、真っ暗な小さな藁葺きの家に、生まれて間もない乳飲み子と母子二人でポツンと寂しそうに暮らす女性を訪ねました。敷居が高い上に非常に狭い入り口より苦労して家の中に入ると、直立できないほど天井が低く狭い空間の中央では、女性が足を伸ばして座りながら何かをごとごと煮込んでいます。我々は、牛皮の敷物に腰を掛け、女性を囲んで話を聞きながら、一時を過ごしました。
ところでオモ川流域で最大人口を誇るハマル族は未だに一夫多妻制度社会を堅持しています。実はこの家の女性は「第二夫人」で、「第一夫人」が誇らしそうに首につける銀色の突起物付きの首輪とは違うものを首にはめていました。愛する夫が自分以外の妻ではなく自分の家に訪ねて来てくれる日を心待ちにしなが暮らしているのでしょう。私たちのためにコーヒー(といっても彼らが飲むのは本当のコーヒーではなく、コーヒー豆の皮を煮出した飲み物)を作る彼女の横顔は少なくとも私には寂しそうに見えました。しかし、彼女は決して自分を卑下するような様子はありませんでした。大きな瓜を真っ二つに割って作った巨大な容器にコーヒー豆の皮を煮出した飲み物を注いで、私たちに振舞ってくれた彼女は、それまですやすや眠っていた乳飲み子が目を覚ますとその子を優しく抱き上げ、愛しそうに見守る、頼もしい母親でもありました。お世辞にも衛生的とは言えないその容器に口を付け、思い切って飲んでみたその飲み物のお味はと言うと、薄い日本茶(緑茶)にそっくり!それはちょっとした驚きでもあり、嬉しくなってしまいました。
エチオピアの旅は、我々とはあまりにも違う世界の中に足を踏み入れていくので、毎日が驚愕の連続で、我が身を省みずにはいられなくなったり、自分たちの価値基準が揺るがされそうになることが度々ありました。人によって感じ方は様々かと思いますが、それこそがこのエチオピアの旅の醍醐味だと思います。皆様も是非、皆様だけのエチオピア・ショックを味わってみて下さい。 (江崎 映理)

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