世界一(大変な?)お花見
「いやー、これから桜が満開になるのにね~。」
3月27日出発当日の成田空港で、名残惜しそうにお客様が言いました。翌週には桜も満開になるというニュースを聞きながら私達はパキスタンへ向かいました。
今回の目的地は「桃源郷」、「シャングリラ」と呼ばれるパキスタン北部の村フンザ。古のシルクロードや、その巡礼者が彫った岩絵を見ながらカラコルムハイウェイを北上しますが、理想郷に近付くのは交通が便利になった現在でも長く大変な道程。日本から飛行機をいれても丸三日かかります。
イスラマバード北部では昨年10月の大地震の爪痕もひどく残っていました。赤十字やUNHCRをはじめとした世界各国の慈善団体がテントを設営し、5分と走らないうちに次の難民キャンプが見えてきます。度重なる余震とその恐怖におびえる人々は、家が壊れていなくてもテントで生活していました。
カラコルムハイウェイでは峻険な岩肌が迫り、土砂崩れや落石の跡を見てはヒヤリ。ひっくりかえったトラックをみてはドキリと緊張が続き、ひとまずインダス川ほとりで1泊します。
翌日も万年雪の山々に迎えられ、順調にカラコルムハイウェイを北上。車の揺れにも慣れた頃、ようやくフンザの中心カリマバードに到着。そこからさらにジープで40分程駆け上がり、ドゥイケル丘の上のホテルに着いたのは陽も落ちた19時でした。
日本を出発して4日目の早朝、ようやく丘の上からフンザを眺めます。
高低差1000メートルは優に超える深い谷あい。その谷間を緩やかに流れる氷河で白く濁ったフンザ川。杏や桃の花が咲き誇るこの時期、それまでの荒涼とした谷はピンクと白の花で埋め尽くされています。視線をあげれば、7000メートル級のカラコルムの雪山が360度広がるパノラマ!ひとまず興奮も落ち着いてシャッターをきりおえると、それまで忘れていた標高(3000メートル弱)や寒さを覚えます。と、絶妙なタイミングでホテルのボーイさんが、ピクニックのようにお茶セットを広げ、ミルクティーを振る舞ってくれました。
水色の空と雪山の白、茶色の山肌にピンクと白に色づくの花の谷を上から眺めるティータイム。それまでの大変な道程も納得の、まさに最高に贅沢なお花見のひとときでした。
皆様も来年は桃源郷で世界一のお花見しませんか? (山口 明子)
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