低地国オランダの知られざる魅力 ~大堤防を越えて~
先日「花のベネルクス物語」15日間ツアーに行ってまいりました。今年は、ヨーロッパの春の到来が例年より遅く、ツアーを通して上着が必要なほどやや肌寒い中でのご案内となってしまいましたが、花の開花時期も同様に遅れたため、幸いにしてお花は正に見頃でした。この時期恒例の花パレードは、本来栽培した花の球根を出荷するために摘み取った花々で山車を飾るものなのですが、今年はオランダ国内だけではその分に必要な量の花を用意できず、多くをフランスからの輸入で間に合わせたそうです。そのため、通常この時期にはもう少なくなっているはずのお花の絨毯が、満開の様子をご覧いただけたのは何よりでした。各町々が工夫を凝らしたお花の山車も、本当に綺麗でした。スペースシャトルやオランダ出身の画家レンブラントの肖像、そして日本人観光客を意識したかのような妖しげな浮世絵(?!)を模した山車もあり、遠目には花で作られたとは思えないほどの見事な出来栄えでした。
このツアーでは、オランダ人の誇りである大堤防を渡って、フリースランド州へもご案内致しました。民族的にも少数民族のフリージアンが人口の多くを占め、言語、文化的にも強い独自性を強調していることで知られるこの州は、「オランダの外国」とも呼ばれ、独特の趣に満ちています。同じ国でありながら、道路の標識の字も、オランダ語とフリースランド語で併記してあるのです。
オランダの土木技術の粋を結集して造られた大堤防は、1927年から実に5年の歳月をかけて完成したそうです。全長約30km、どこまでもまっすぐ伸びる堤防の出現によって、元々湾であったところが現在では淡水のアイセル湖となりました。これによって、永らく水害に悩まされてきた沿岸部の人々も、安心して暮らせる国土を創り上げたのです。さらには堤防の基礎部分に柳の枝を利用するなど、しっかりと環境にも配慮しているあたり環境先進国オランダの面目躍如です。大堤防を見下ろす展望台に登って見ると、幸運にも晴れ間がのぞいたことで、海と湖の色の違いもご覧頂くことができました。
オランダには、「神は世界を創ったが、オランダはオランダ人が造った」といういいまわしがあるそうですが、国土の70%が海面下という低地国オランダにあって、人々がいかに自らの手で国土を造ってきたかを実感することができた今回の旅でした。(倉持徹朗)
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