カラフルで楽しいお墓!?
ルーマニア北部に位置するマラムレシュ地方。この辺りはまるで中世で時が止まってしまったかのごとく、独特の時間が流れています。昔ながらの生活や文化を守り続けていて、まさに「桃源郷」という言葉がぴったり当てはまります。道路を馬車が走っていたり、民族衣装を纏ったおばあちゃんが家の前のベンチで寛いでいたり。移動中は一面に広がるとうもろこし畑や放された羊を犬が追っているほのぼのした光景が見られました。
そのマラムレシュ地方の中でも最北、ウクライナとの国境が近い場所にサプンツァという村があります。この小さな村が有名なのはその名も「陽気な墓」があるからです。日本で墓と言えば暗くて悲しいイメージ、また怖いイメージがありますが、ここの墓は真逆です。明るい、楽しい、まさに陽気な墓が並んでいます。
特徴は木で出来た墓標に死者の肖像や生前にどういう暮らしをしていたかが一目見てわかる絵が彫られていることです。糸を紡いでいる女性、馬に乗っている男性。中にはワインを飲んでいる絵などもあります。絵の下には生前の暮らしや体験などが面白おかしく書かれています。 墓地のイメージを覆すここはスタン・イオン・パトラッシュという絵描きさんが十字架に絵を施したのが始まりで、今は3代目の方が後を継いでいます。絵の下の文章はルーマニア語なので読むのは難しいですが、絵だけを見ていても想像が膨らんできます。 自分がここに墓を作ってもらうならどうゆうものを作ろうかな?と考えただけで楽しくなってきます。
楡、樫、樅などの森に囲まれたマラムレシュ地方。短い夏が終わり、長く、寒い冬に向けてぼちぼち冬仕度を始めます。素朴で温かい人々に会いに是非お出かけ下さい。
(奥村 佳織)
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