石油とワインと十字架と・・知られざるコーカサス三国
先日、コーカサス三国へ行ってきました。コーラスでも、サーカスでもない、コーカサス。カスピ海と黒海に挟まれたコーカサス山脈麓の地域を指します。旧ソ連邦の解体後、この地域は改めて三国に分割されました。アゼルバイジャンとグルジア、そしてアルメニアです。今回はまだ知名度の低いこの三国を旅して最も印象に残ったものを各国ごとに簡単に記したいと思います。
アゼルバイジャンと言えばバクー油田。石油櫓の数の多いこと!バクー周辺でバスから見えるものと言えば、昼夜動き続ける石油櫓か精製工場、タンカーばかりと言っても過言ではありません。オイルマネーと言えば最近煌くドバイが話題に上がりますが、ここではまだまだ庶民の生活にその恩恵が行き着くまでにはなっていません。「国民は待っています。石油危機が叫ばれる昨今、バクー石油の利益が我々にもたらされることを・・・期待感はあります。」こうガイドさんは語りました。国内にやたらある前大統領と現大統領の宣伝看板をみているとこの国民の期待が淡いものである気がしてなりませんでしたが・・・
グルジアはワイン発祥の地とされています。広がるぶどう畑にはちょうど収穫のシーズンで家族がぶどう摘みに出ていました。そのぶどうの甘いこと!そして作られるワインは実に様々な味となって届くのです。私たちの中で一番人気は赤ワインでした。伝統的なワインは土に埋められた壺で熟成します。「おいしいだろう。」と誇らしげなワイン農家のおじさんの顔がしあわせそうで、試飲した私たちもしあわせな気分になりました。
アルメニアは世界で初めてキリスト教を国教とした国。アルメニア正教の教会はとてもシンプルですが、民族大虐殺を経験し、未だアゼルバイジャンやトルコとの国境を閉鎖しているこの国の人々は宗教を団結の手段、あるいは心の拠り所としてきた教会で今日も熱心に祈りを捧げています。「十字架の浮き彫りも教会内部も一見同じ様に見えるけれど全て違うんだよ」と優しく語ったガイドさん。石をこつこつ彫り、立派な十字架や天使などを浮かび上がらせる彼らの信仰心の篤さに心うたれました。
お相撲さんの黒海がグルジア出身というと、ああ!と返ってくるようになったコーカサス地方ですが、まだまだ知られざる魅力で溢れた国々です。山や平原の景色、郷土料理やワイン、なつこく温かい人々。どれを求めても素敵な発見に出会うこと請け合いです。皆様、民家で家族と触れあい、おいしい家庭料理を食べるような体験が出来る今のうちに、コーカサスを旅してみませんか。 (岡田あかね)
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