稀代の悪女・則天武后のもうひとつの顔 ~龍門石窟~
先日、「雲崗・龍門と中原の旅15日間」のツアーより帰国致しました。
5~6世紀の北魏時代、中原(黄河中・下流域一帯)に栄えた仏教芸術。このツアーでもその時代に開鑿された数多くの石窟を巡りますが、今回私が特にお勧めしたいのが、河南省洛陽に位置する龍門石窟です。
この石窟は、莫高窟(甘粛省敦煌)、雲崗石窟(山西省大同)とともに中国三大石窟の1つとして数えられています。伊河という川の両岸の岩肌に彫られた無数の石刻は、494年に北魏王朝が大同から洛陽へ遷都するにともない、先述の雲崗石窟にならって造営が開始され、唐代に至るまで盛んに造営がつづけられました。この石窟を遠くから見るとさながら蜂の巣のようであります。近づいて見ると小さいものは2㎝しかないものもありますが、なんと言ってもハイライトは17mもの高さを誇る奉先寺の廬舎那大仏であります。
モデルはなんと中国の歴史上悪女として名を馳せたかの「則天武后」。しかし、実際にこの大仏に対峙してみると、そのようなイメージとは程遠いものでした。表情は驚くほど穏やかであり、しかも美人。私はその場で呆然と立ち尽くし、思わず見とれてしまいました。まあ「綺麗な薔薇には棘がある(ちなみに洛陽は牡丹が名物ですが)」と思ったりもしましたが・・・。
このような石窟のほかにも、絶壁に張りつくように造られた懸空寺、明清時代の面影を色濃く残す平遙古城、3000年前に殷商時代の都であった安陽に位置し今年7月に世界文化遺産に登録されたばかりの殷墟博物館、禅宗の祖庭であり拳法の演武もお楽しみいただける少林寺など、見所満載の中国中原地方に是非一度お訪ね下さい。 (斉藤 信)
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