季節はずれの旅の魅力
今回の旅で私が一番印象的だったのは、ケルシー地方にある、コロン・ラ・ルージュという町です。バスが町に近づいていくと灰色のアスファルトの道路が真っ赤な色に変わり、遠くに不思議と赤色に霞んだ町が見えてきました。町の名前に「赤」が付いている通り、町で目にする全ての建物が地元産の赤い石で造られているのです。通りの民家はもちろん、市庁舎、カフェやお土産屋さん、そして教会や公衆トイレまでもが深い赤色の石が積み上げられて造られているのです。ちょうど私たちが訪れた時期は黄葉真っ盛りで、街並みの赤色と黄葉の黄色、更に郊外に広がる緑色の牧草地が背景に重なり、鮮やかな色が混じりあっていてお互いに彩色を主張し合っている、なんだかとても不思議な雰囲気の田舎町でした。恐らく、この静かな田舎町に観光客を呼ぶための、町おこしの目的もあるのだと思いますが、無理な背伸びはせずに、町民が穏やかな意思でもって町造りをしていることにも素敵なフランスらしさを感じました。
季節はずれの旅には、欧米の人々が求めるような輝く太陽やスカッと晴れわたる青空は望めませんが、落ち葉を踏みしめながら歩く寂しげな秋の街並みや花や新緑の中にのびのびとした生命力を見出せる春の旅は私たち日本人ならではの感覚にぴったりのような気がします。
これから訪れる春に、田舎町の良さを探しに旅に出てみませんか?(上田晴一)
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