2006年の大晦日、ウィーンフィルハーモニーと共に・・。
先月、「ウィーンフィル・ジルヴェスターコンサートと中欧三都巡り」という年末特別企画ツアーから戻って参りました。この時期の中欧は、冬特有の澄み切った空気や彼方まで見渡せるような青空が魅力の、とても素敵な季節です。また、雪がちらちらと降りてくれば、中世の趣を今でも残す街の輪郭が銀色に縁取られ、また別の魅力が現れます。今回のツアーでは暖冬であるにも関わらず、なんとも幸運なことに、チェコでは雪が、ウィーンでは青空が現れ、そうした冬の中欧の魅力を両方お楽しみ頂けたようです。
このツアーは芸術鑑賞に重きを置いており、ウィーンフィルハーモニーのコンサートに加え、プラハではオペレッタ「こうもり」、美術館鑑賞とプラハ・ブダペスト・ウィーンそしてスロヴァキアの首都ブラチスラヴァでの旧市街観光と、見どころがいっぱいの10日間の日程となっています。
なかでもこのツアーの一番の盛り上がりは、やはり年末ウィーンフィルコンサートでしょう。毎年12/30から大晦日、新年と3日間連続で行われ、ウィーン出身の音楽一族シュトラウス一家の曲目を中心に披露されます。
私達が参加したのは大晦日のジルヴェスターコンサート。世界最高という揺るぎの無い肩書きを持つとも言われる、楽友協会の大ホール「黄金のホール」にて行われました。その名の通り、金箔で煌びやかに装飾された輝かしいこの黄金のホール。内部は音響上最も有利とされる木造りで、床は2重構造にされ、床下に共鳴箱を持ち、すぐ横の地下を通る川の大きな坑道が、もう一つの共鳴空になっていると言われます。天井の照明は中吊りにされ、やはり共振するように作られているとのこと。私達がホールに足を踏み入れると、会場の雰囲気は、ウィーンフィルの演奏を今か今かと待ちわびる世界各国の音楽ファンによって、喜びと興奮に満ち溢れていました。
演奏は言葉では言い尽くせないほど本当に素晴らしく、なかでも最後の演奏曲、毎年恒例となっている「ラデツキー行進曲」は忘れられません。指揮者のズビン・メータ氏は、突然、オーケストラではなく、くるりと振り返り観客席の方を向いて、つまり私達に向かって、指揮棒を振り始めたのです。このコンサートを作り上げるのは指揮者とオーケストラだけではない、そういった意味をこめての演出でしょう。私達の演奏楽器は自分自身。拍手で応戦です。皆の笑顔と拍手、指揮者とオーケストラ、全てが一体となり素晴らしい感動のもと、ウィーンフィルのジルヴェスターコンサートが幕を閉じたのでした。
皆様、次回2007年の年越しと2008年の幕開けを、冬のウィーンで過ごすのはいかがでしょうか。きっと一生に一度の忘れられない、大切な大晦日そしてニューイヤーになること間違いなしです!(尾形 真野)
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