2007年4月26日 (木)

黒海関の故郷、グルジアでの心温まる民家宿泊体験

070426 今回は、大コーカサス山脈麓の国々を巡る「コーカサス三国への旅」、添乗時のエピソードをご紹介させて頂きます。

コーカサス三国とは、アゼルバイジャン、グルジア、アルメニアの3ヶ国を指しますが、日本語の資料や文献はまだ少なく、これらの国が何処に位置するのかを即答できる人はあまり多くないのではないでしょうか。
まだ「未知の国」である、コーカサス三国。まずは全般的な概要から。
コーカサス三国は、5,000メートル以上の高峰が連なる大コーカサス山脈の南側の麓に位置し、東はカスピ海、西は黒海に挟まれています。3ヶ国を合わせても日本の面積の半分くらいですが、気候は非常に変化に富んでおり、有史以前から様々な民族が行き交うシルクロードの交易路に位置したことから民族的にも多様な地域で、世界の“東西文化の交差点”とも言われています。また、3ヶ国とも1991年に独立するまで旧ソ連の構成国であり、体制転換に伴なう混乱の時期を経て間もないため、まだ様々な面で未熟な部分が多く、今後大きく成長を遂げていくであろうことが予想されます。
その中で、最近ではロシア及び西欧との関係に関して国際ニュースにも登場し、大相撲の黒海関の出身国として日本における知名度が目下上昇中のグルジアでの体験をご紹介させて頂きます。

世界3大長寿国の一つ、グルジア。三国の中で、大コーカサス山脈の麓に最も近い場所に位置し、雄大なるコーカサス山脈を眺望しながら「グルジア軍用道路」を北上していくと、ロシア連邦領に至ります。
あまり知られてはいませんが、グルジアのワイン文化は何と8000年もの歴史があります。世界最古のワイン生産地の一つであり、葡萄の発祥の地とも言われます。その後、ワインがエジプトにもたらされたのは紀元前3000年以前のことで、あのクレオパトラも美貌維持のために(?)グルジア・ワインを愛飲していたとか。また、ロシアの皇帝たちも芳香な香りとまろやかな口当たりのグルジア・ワインの虜になっていたと言われます。
グルジアには健康で元気な長寿の方がたくさんいますが、100歳を越える高齢者たちが毎日欠かさずワインを愛飲していると言います。
そのグルジア・ワインの一大産地がカへティ地方。ぶどう園が一面に広がる長閑な田園風景を眺めながら、私達のバスはその中心の町、テラヴィへ向かっていきました。
閑静な住宅街の一画。比較的大きな家が並んでいます。ツアーの大型バスがこんなところに入っていくのは何だか不思議な感じ。通常の観光では、このように町の住宅街の中まで入っていくことは殆どなく、人々の日常生活を垣間見る機会というのは少ないものですが、今回は、グルジア人の一般家庭にお邪魔して宿泊するというちょっとしたホームステイを体験する機会がありました。
「ガマルジョバット!(こんにちは)」。
覚えたてのグルジア語で思い切って挨拶をしてみると、民家のお母さんは、優しい微笑で「ガギマルジョット!〈(返答として使う)こんにちは〉」と返してくれました。その素敵な歓迎の笑顔に少しばかり緊張していた私たちの心は一気に和み、ほっとしたような安心感で満たされました。
隣り合う幾つかの民家に分かれて、それぞれの部屋へ入り、しばし休憩。
洋服ダンスや机、姿見、そしてベットなどなど室内のものは全てその家庭の人々が普段実際に使っているもので、人の温もりが伝わってくるような部屋に入ると、不思議と懐かしいような気持ちになり、ツアーでのホテルの部屋に入ったときとは全く異なる初めて味わう感覚に満たされました。
民家のご主人や子どもたちとちょっとした国際交流をこの時間に楽しんでいた方もいました。ことばは互いに通じなくても、身振り手振りで、意外と伝わるもの。グルジア人の温かい心が伝わってくるひとときです。
その後、少し部屋でくつろいでいると、下の台所から美味しそうな匂いが漂ってきました。
そろそろ夕食の時間が近づいてきます。この家のお母さんが遥々日本からやって来た私たちを歓迎すべく、腕をふるって家庭料理のご馳走を振舞ってくれると思うと、本当に嬉しくなってきます。
美味しそうなお料理の匂いに誘われるように、1階の夕食場へ皆様が集まってきます。そこにセッティングされたテーブルには、グルジアの名物料理・定番料理をはじめとする、たくさんのお料理がずらり。テーブルから溢れんばかりに並ぶさまに思わず歓声があがります。
まずは、自家製のグルジア・ワインで乾杯!!
グルジアでは、乾杯の仕方に独特な伝統的習慣があり、「タマダ」という「宴席の仕切り役」が乾杯の音頭をとります。グルジアの宴席では、まずタマダが杯を手にし、冒頭の「演説」を行います。その内容は美しく普遍的で時に感動的に情熱的に語られます。例えば、「今宵、はるばる遠い異国の地、ジャパンより、コーカサスの懐にある我が国へ、こんなにたくさんのお客様がやって来てくれた。この素晴らしい出会いに感謝しようではないか…乾杯!」といった具合です。そしてタマダは手に持った杯を飲み干し、次の列席者に杯を渡します。渡された人は、タマダに対して「返杯の演説」をしなければならないのです。拒否権はなく、そうやって杯は延々とテーブルを回っていくわけです。もちろん、それは料理を楽しみながらです。各々のグルジアを讃える乾杯の演説を楽しみながら、そして会話と料理を楽しみながら、楽しい時間は過ぎて行きました。
グルジアの料理は、見た目も味も本当に美味しく栄養もたっぷり。我々日本人の口に合うものが意外と多く、テーブルには食べ切れないほどのお料理が並ぶので、ついついお腹一杯食べてしまいます。
お腹が満たされ、少し眠くなってきた頃、素晴らしいお料理を振舞ってくれたお母さんに心からの感謝のことば「ディディ・マドロバ(ありがとうございます)」を伝え、各々の部屋へ戻っていきました。

民家での宿泊体験は、あっという間に過ぎてしまいましたが、グルジアの温かい家庭の雰囲気に触れられて、懐かしいような気持ちになれる心に残るひとときでした。
素晴らしいおもてなしをしてくれた民家の人々に心からの感謝の気持ちを伝え、別れを惜しみながら、私たちはテラヴィの住宅街を去っていきました。バスの中の私達に向かって、優しい微笑みをたたえながら手を振って見送ってくれた民家の皆さんたちの姿は今でも心に焼き付いています。(江崎 映理)

コーカサス三国のツアーはこちらから


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