シリア・ヨルダンの感動をくれる名所たち
この度、「シリア・ヨルダン隊商の道 13日間」の旅から戻って参りました。2ヶ国の見所がぎっしり詰まったこのコース。巨大遺跡のパルミラとバラ色のぺトラ遺跡はだれもが知る中東で行ってみたい遺跡のベスト5位に入る遺跡でしょう。
そのパルミラ遺跡の魅力はなんといっても半日かけて見るその大きさと、かつてクレオパトラの末裔と自称したゼノビアの世界です。シリア砂漠には古くよりオアシスがあり、オアシスとそのそばにあるパルミラの湖によって、都市が広がっていました。南のぺトラにあったナバテア王国が衰退してから、南北東西の交易路の中心地としてパルミラは栄えていました。
紀元前3世紀パルミラの女王ゼノビアはローマからの自立を目指し、その版図を広げていきました。結局ローマ軍に破れ、パルミラの街も壊滅に追い込まれてしまうのですが、今現在でもゼノビアの時代に作られた彼女の肖像画入りのコインや、長い列柱路の柱に刻まれた彼女の名前をみると嘗ての繁栄の様子を伺い知ることができます。
そして、南にいくとナバテア王国都市のぺトラ遺跡。通行税を隊商たちから得て発展したナバテア人の元々の祖先はアラビア半島だといわれています。サウジアラビアのマダインサレ遺跡では彼らが死者が登る階段をイメージした神殿が残っています。その形にそっくりな建造物がぺトラ遺跡で最も有名なエルハズネの周りに多く残り、人々が南部から移動してきたことを実感させられます。
そのような神殿はまだほんの20%も発掘されておらず、実はぺトラの山々の中に約800も眠っているというのですから、謎多きぺトラをさらに魅力的に思わせます。驚くのはその数だけではありません。南部からやってきたナバテア人は冨を重ねシリアのダマスカスにまでその王国を広げていたといいます。
旧約聖書の時代から人々の合流地点であったこの地域は、新約聖書、ローマ時代、ビザンチン時代、十字軍時代、イスラム時代とそれぞれの時代に重要地区として人々に認識されていた場所でした。
そしてこの時代になり、また私達が旅をするとは流れる時代を感じずにはいられません。「そうか・・・歴史が繋がった。」きっとそんな旅になることでしょう。
担当添乗員 時田
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