黄金の秋、ポーランド一周の旅
先月、ポーランドより帰国しました。樺太と同じくらいの緯度にあるポーランド。初日ワルシャワについたときには、飛行機の遅れもあり、とっくに日は暮れて冷たい風が吹き始め、冬の到来を予感させられました。
まず向かったのは、バルト海岸の港町グダニスク。途中、晴れたかと思うととたんに雲行きが怪しくなって雨粒が落ち始め、そうこうしているうちにいつの間にか空が明るくなり、輝くばかりの田園風景が広がる。そんな、春夏秋冬を一日に早送りしたかの移ろいやすい空模様が続きました。しかしいったん光が満ちてくると、車窓には透き通って黄色く色づいた木々が次から次へと現われはじめ、思わず息をのんでしまいます。ドイツ騎士団の古城マルボルク城を訪問した日には、空には虹が大きな弧を描きました。
日本の約80%の大きさをもつ国土には山あり湖あり海あり、と変化に富んでいますが、そのほとんどは大平原。実際、国名の起源になった民族の名は平原の民を意味しています。今回の走行距離はバスと列車を合わせ1800km。あいにくのお天気の日々が多かったとはいえ、車窓にはいつも黄金の秋にふさわしい美しい自然が姿を現し、十分に目を楽しませてくれました。街道沿いには森で採れたばかりのキノコの小さなバスケット、ニンニクや玉ねぎなどのカラフルな畑の幸が並べられ、ポーランド民謡『森へ行きましょう、娘さん』そのままの素朴な雰囲気に思わず頬がゆるみます。
ところで、ポーランドと言えば、どうしてもアウシュビッツ、そして陰鬱な空を連想しがちです。人類の負の遺産「アウシュビッツ・ビルケナウ――ナチスドイツ強制・絶滅収容所」。実は2007年、誤解を受けないようにと改称されたばかりです。今回のご案内は唯一の日本人博物館ガイド10年目を迎えられた中谷剛さん。手が悴む肌寒い一日でしたが、1時間半にわたって熱のこもったお話をして下さりました。
真冬さながらの気候だったのは、スロヴァキアとの国境をなすポーランド南部タトラ山地のアルペンリゾート、ザコパネは早くも9月に初雪を記録し、訪問したときにはすでに白銀の世界でした。朝晩は摂氏2度。手も足も凍える気温でしたが、山小屋風レストランでは、温かいボルシチとお肉の串焼き、そして陽気な民族音楽とダンスが待っていて身も心も夜と暖まる夜となりました。
落ち着いた佇まいの晩秋の中欧の旅。今年一番の忘れられない旅となりました。
(石堂 佐和)
中欧・東欧のツアーはこちら(例年翌年分を12~2月に発表)
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