パナマ運河クルーズ(連載3/3):いよいよパナマ運河通過!
本日は連載最後、「パナマ運河横断とカリブ海の船旅 18日間」のハイライトでもあるパナマ運河のお話をしたいと思います。大型客船が水門の壁すれすれで納まってとおりぬけていく様子は実際大型客船に乗ってみないと味わえない面白さです。こんな大きな船がどうやって水門を通っていくのだろうか。期待に胸を膨らませてその日を迎えました。
朝6時、遠くに高層ビルが建ち並ぶパナマシティーを見ながら、大きな客船はパナマ運河に入っていきます。しばらくすると、2004年まで南北アメリカをつなぐ唯一の橋だったアメリカ橋が見えてきました。61mの高さに掛けられている橋なので私達の船のような大型客船も悠々と下をくぐり抜けられます。壮大な橋をくぐってから約1時間、船はパナマ運河を進みます。
パナマ運河を越えるためには水門を通らなければなりません。今回私達が乗った船は全長293m、幅32m。パナマックスサイズと言って、パナマ運河を通ることが出来るぎりぎり最大のサイズです。水門はとても狭いので、船の動力で前進することができないため、水門手前で船は停止します。そこからは水門に設置されている電気機関車にワイヤーで船を引っ張ってもらいます。6台の電気機関車がこの巨大な船を引っ張るのですから相当な力です。船は動いているのか動いていないのか分からないぐらいゆっくりと門の中を進んでいきます。左右の隙間はそれぞれ50cmぐらい。本当にぎりぎりのところを進んで行きます。(ちなみに、幅32mもある船なので当然左右にゴツゴツとぶつかります。次の寄港地カルタヘナで一生懸命船員さんたちがペンキを塗っていました。)閉まっている門のすぐ手前まで来ると、今度は後ろの門が閉まります。上の門から水が流し込まれ、気づくか気づかないかぐらいのスピードで水位が上がっていきます。一回船を通すのに、全部で2億リットルの水が必要だそうです。想像もつかないぐらい大量の水です。水位が次の箱と同じになると、今度は前面の門が開き、船がもう少し進みます。そのようにして何度か水位を上げて前進しますが、このような仕組みが1914年から変わらず使われていることにも驚きを覚えました。さて、船は2つの門を過ぎると今度はガトゥン湖という世界最大の人口湖に入ります。何百も島があり、ここは野生の生物の宝庫でもあります。今回はガトゥン湖を通っている間、嵐が訪れ、視界が真っ白になってしまいましたが、すぐ近くにいくつもの島も見えました。ガトゥン湖をぬけると最後に、3段式のガトゥン門を今度は降ります。太平洋や大西洋とこのガトゥン湖の高低差は26m、さきほど上がった分を今度はおりていきます。船の高さがあまりにも高すぎて、水位が下がっているのかどうか、遠くの景色を見てもわかりません。いつのまにか水位が下がっていたこともありました。この門を通り抜ければそこはもう大西洋です。
今回のクルーズはクルーズの中でも「パナマ運河を越える」という大きな目標をもったクルーズでした。それは、この大型客船に乗ってみないと味わえない“楽しみ”です。是非一生に一度、この感動を味わってみてはいかがでしょうか。
(佐々木聡子)
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