日本と共通の宇宙観!アンコール・ワット
さて、アンコール・ワットを代表とする遺跡群は初めて見る人も、何故かそんなに違和感を感じないのではないでしょうか?実は、これらの遺跡の多くは古代インドの山岳信仰の宇宙観、即ち神々が住むとされるメール山を中心とした世界の巨大な模型なのです。メール山(サンスクリット語の「スメール」)の音写の漢訳が「須弥山」、意味を漢訳したのが「妙高」で、実は日本文化にもしっかりと根ざしたものなのです。日本では仏教の宇宙観として入ってきており、日本でもこの世界を模型として造っていたのです。日本の最古の庭園様式は須弥山式と言われており、何とアンコール・ワットが表している世界をお庭で再現していたのです。(もちろん須弥山式の庭は、今でもいくつか見ることができますから、アンコール・ワットに行く前に見ておくのも面白いでしょう。)又、アンコール地方ではちょっとした高さの丘や山をメール山とみなしていましたが、日本でも新潟県の妙高山はメール山の漢訳から来ており、日本版メール山があるのです。表現形態は違えど、同じ宇宙観を共有しているのですから、あまり違和感を感じないのも納得です。アンコール・ワットでは江戸寛永期にここを訪れた森本右近大夫の落書きを見ることができますが、当時の人はここを「祇園精舎」と思い込んで、三代将軍家光は島野兼了を視察に行かせ、見取り図まで作成しています。(この図を長崎奉行が模写したものは水戸の彰考館にあります。)アンコール・ワットを見て、フランス人の様に得体の知れぬ巨大遺跡と考えず、これぞ「祇園精舎」と思った訳ですから、日本人が元々持っていたイメージに近かったのでしょう。カンボジアは、現代史があまりに激しかった為、今の私達には遠い国のように思えてしまいますが、文化的にも共通点があり、、醤油や漬物があること等食文化も割りと似た所があるので(因みにカンボジア人は日本の梅干が大好きです。)、意外と親近感を持てる国です。アジアを代表する大遺跡に、短い日程で手軽に行けることも魅力ですので、是非訪れてみてください。
添乗員 西田正樹
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