インドとスリランカ、2つの南国
先日、「スリランカと南インド 12日間」のツアーより帰国致しました。
古来より相互に人々が行き交い、つながり深い南インドとスリランカ。しかしこの2地域は面白い程に雰囲気が異なります。
様々な民族・宗教・価値観が混在するインドは「カオス」などと表現されることがあります。南インドは北インドに比べヒンドゥー色が強く、また海のシルクロードとしても栄えた港町には西欧諸国の街並みも多く残り、より一層その印象を与えます。そんな中で目を引くのはやはり、数え切れないほどの色鮮やかな神様達が集うゴープラム(塔門)を持つヒンドゥー寺院。そして熱心に祈りを捧げる教徒の人々。日本で暮らす私たちとはかけ離れた世界観で生きる人々が放つパワーに圧倒され、しかし一方で、取り囲む風景は南国独特の穏やかさを持ち、そのアンバランスさに始終戸惑いっぱなしだったように思います。
旅の半分を経て、海を隔てて100kmも離れていないスリランカに入ると、南インドとは全く正反対の印象を受けます。日本ではあまりメジャーではありませんが、欧米からの観光客も多いスリランカは、リゾート地としての施設も整っていながら、都市にも田舎道にもジャングルにもゴミ一つ落ちておらず(象さんのうんちは落ちていますが!) 素朴さと快適さのちょうどよいバランスを保っています。島国の仏教国であるスリランカは、どことなく日本と通ずるものがあるのかもしれません。
現在、スリランカではシンハラ人とタミル人というふたつの民族の争いが国を騒がせていますが、世界にも名高い仏教遺跡も、とてつもない巨岩山に造られた宮殿・シギリヤロックの頂上からの風景も、道端で買ったスリランカ名物・赤バナナも、素晴らしく美味しく、一刻も早く多くの方が気兼ねなく訪れられるようになって欲しいものです。
旅の終わり、スリランカですっかりいつもの調子を取り戻した頃には、なんとなくインドの喧騒の中で飲む美味しいチャイが恋しくなっていました。これがインドの不思議であり、また旅の魅力なのだなと改めて感じた旅となりました。
(弥永 亜実)
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