2008年3月17日 (月)

世界の果て南極への旅(連載1/3)~一味違ったクルーズの魅力~

Fune 先日、「白い大陸、南極半島クルーズ 16日間」のツアーより帰国致しました。ロマンと感動溢れる地球上最後のフロンティア南極への冒険旅行の様子を3日間に渡ってお伝えします。

南米最南端の町、アルゼンチンのウシュアイアを出航して一夜明けた朝、キャビンからの景色が海から空へめまぐるしく変わる程激しい揺れ。船内では「歩き回る時は必ず両手を開けるようにしてください」とアナウンス。なるほど、両手が開いてないと歩く事すら困難です…。船は世界で最も荒れた海域の一つ、魔のドレーク海峡を航行中なのです。昔の船乗りたちは、南極へ向かう荒れ狂うこのドレーク海峡の事を、こう表現しました。『吼える40℃線、叫ぶ50℃線、絶叫する60℃線』と。船乗りも探検家も観光客も、南極半島に到達するまでには越えなければいけない最大の試練にして、必ず受ける洗礼です。

Naibu2 朝食会場となるダイニングルームもこの日ばかりは人影まばらで、激しい揺れの中の食事はなかなかコツがいります。レストランも工夫されており、テーブルには濡れたテーブルクロスを敷き、食器が滑り落ちないように、またイスにはロープが繋がれており、転がらないようになっているのです。そんな対策をするほどの揺れの中、レストランのウェイターたちはケロッとした顔でテキパキ働いています。ナナメになるのも何のその、手馴れた手つきでコーヒーを注いで周ります。とても同じ人間とは思えません。今回の船には103人の観光客が乗船していて、国籍を数えると全部で21カ国。通常のツアーの食事とは異なり、好きな席に座って外国の方と交流を深めるのもクルーズの魅力の一つです。毎日顔を合わせるスタッフとも自然に打ち解け、この旅の間はお客さんもスタッフも全員まとめて大きな家族となるのです。

Naibu1 南極到達まで出航後約2日間かかるため、その間船内では「南極講座」が開催されます。南極英雄時代の歴史の話からペンギンやアザラシや氷など、これから出会う大自然についての知識を蓄えます。船内にはバーや売店、エクササイズルーム、図書室などを完備。夜は世界の果ての映画館で様々な映画が上映されたり、24時間一般開放されている操舵室では設備を見学したり、船長と写真を撮ったり、舵をとらせてもらったりできるのも魅力の一つです。

 クルーズといえば豪華客船で優雅に…というイメージがありますが、今回乗船したオルロヴァ号は全長90m、全幅16m、総トン数4251トンというこじんまりした探検船でした。これには大きな利点があります。それは南極の陸地に何度も上陸観光できるという事です。例えば南極航行中に出会ったスタープリンセス号は、総トン数109,000トンと、我々の船の約26倍もある超豪華客船ですが、南極での上陸は一回もなし。大きすぎて接岸できないのです。一方我々はゾディアックと呼ばれる特殊ゴムボートに乗り換え、天候さえ許せば最低7回は南極の地を踏む事ができる迫力の上陸観光が可能なのです。実際今回の探検では11回もの上陸に成功しました。次回はその上陸観光についてお話しましょう。

(添乗員:村上大嗣)

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