2008年3月18日 (火)

世界の果て南極への旅(連載2/3)~世界で一番愛らしいペンギンたち~

1_2 本日は南極上陸観光についてお話したいと思います。南極圏の島あるいは大陸に到達してからは船長が風や天候と、氷の様子を見て安全に上陸できるかを確認し、条件が整えば午前、午後と一日2回の上陸観光となります。一回の上陸は約2~3時間とたっぷり滞在できます。

 南極といえばペンギン!と言っても過言ではありません。上陸ポイントにより種類の違うペンギンと出会えます。今回の旅では、アゴヒゲペンギン、オレンジ色のくちばしと後頭部の白が特徴的なジェンツーペンギン、白と黒だけの羽毛で、目に白い縁取りがあり、日本でもチューインガムのCMなどで一躍有名になったアデリーペンギン、黄色の眉を持つマカロニペンギン(一羽のみ)、通常サウスジョージア島やフォークランド諸島にしかいないが、迷って半島に辿りついたオウサマペンギン(一羽のみ)と5種類のペンギンに出会いました。

ペンギンたちのコミュニケーションの主役は何と言っても声です。繁殖地で昨年のパートナーや初めての相手を探して呼ぶ恍惚の叫び声。限られた巣の材料を奪い合う争いの叫び。自分の縄張りに入ったペンギンを追い払う喧嘩の声。海から帰った親にエサをねだる飢えたヒナの鳴き声。卵やヒナを狙おうとチャンスをうかがうオオトウゾクカモメを警戒し、威嚇する甲高い声。エサ取りに海に出て帰ってきたオスとメスがパートナーを探しあう声。そして出会っては、お互いを確認しあう甲高い声。我が子を探す声…。じっくり観察しているといろいろな声に気付きます。

2_2 記念すべき初上陸の島はハーフムーン島。その名の通り三日月形に湾曲した浜辺を要する小さな島です。この島にはアゴヒゲペンギンのルッカリー(群生地)があります。今はちょうど換羽期で、フワフワとした毛並みのペンギンを沢山見る事ができました。普段は水族館でしかお目にかかれないのが、ここでは見渡す限りペンギンペンギンペンギン!その膨大な数にもビックリです。生え変わりの毛がくちばしにくっついても全く気にしないペンギン、お腹が空いてヘタって寝転がって動かない子ペンギン、一列になって行進するグループ、エサをいつまでもねだり、親の後を必死に追いかける子ペンギン、ピョンピョンと岩の間を飛んではコケるペンギン、同じ方向を向いて佇むグループなど、同じペンギンでも個性が溢れ、何時間見ていても飽きることのない、楽しいひとときでした。

南極のペンギンその3 南極保護条約により、観光客はペンギンから最低5m、オットセイからは15m以上離れる事、動物や野鳥が移動している時は道を譲り通り過ぎるまで待つ、などの規約があります。ただし、愛嬌たっぷりにペタペタ歩いて向こうから近づいて来る分にはこちらは条約違反にはなりません。まだ人間に警戒心のない子ペンギンたちは見慣れない生き物に興味深々。一生懸命ヒモを突付いてみたり、仲良くなり人の膝枕で寝ているペンギンなんかもいたりして。他にもナンキョクオットセイがいたり、ミナミゾウアザラシがいたり、トウゾクカモメがいたりと、島によって生息している野生動物も様々です。海辺ではペンギンたちが水面でジャンプ!これはいわゆるイルカ跳びというもので、急いで移動する時にイルカのように跳躍遊泳し、息継ぎを行うのです。ペンギンたちを見ていると、水中で呼吸できないこと以外は、海での生活に完全に適応した鳥なのだと実感させられます。南極上陸最初の個人的な印象は…【1】ペンギンたちをこんなに真近で見れるなんて感激!【2】何じゃこのニオイは!?【3】想像していたよりも寒くない!…でした。

Photo_7 上陸する場所それぞれで違った魅力がありますが、ダンコ島という島では特に素晴らしい絶景を見ることができました。ここはジェンツーペンギンのルッカリーがある島で、一斉に太陽に向かって白いお腹を向けて日向ぼっこしている姿は何とも愛らしかったです。隊長に連れられて、のんきに日向ぼっこするペンギンたちの合間を縫って高台へと登りますが、快晴のおかげで汗がみるみるうちに噴き出します。まさか南極に来てこんなハードな登山をすることになるとは…。遠くで何度か氷山の崩落する「ドドォオォー」という重低音を聞きながら、やっとこさっとこ頂上に辿り着きました。そこは、息を呑むほどの絶景のパノラマが!!目の前は南極半島の堂々たる氷山、鏡のように映る湖面に反射する美しい流氷、プカプカ氷山が浮かぶ中にポツンとあるオルロヴァ号、雪に抱かれた山に太陽の光が当たり、何ともいえない色合いを醸し出しています。そして青い空と白い氷と黒いペンギンたちの見事なコントラスト…到達の達成感と風の心地よさと壮大な景観に圧倒され、疲れなんてあっという間に吹き飛び、しばし時を忘れてしまいました。氷河に囲まれた厳しくも美しい風景は生涯忘れられない光景になるでしょう。 Photo_6

(添乗員:村上大嗣)

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