華僑達の血と汗と涙の賜物!新世界遺産・開平望楼(中国・福建省)
先日「ぶらり客家と華僑の足跡めぐり」より帰国いたしました。
このツアーでは、2007年に新たに世界遺産に登録された、広東省の開平の望楼郡と、福建省の客家の土楼を見学します。どちらも一般的な中国風の建築とは全く違い、中国であって中国でないような、不思議な感覚に陥る場所です。
旅はまず広東省の開平へ。開平市内に入ると、近代的なビルや、一般の商店等の合間を縫って、洋風の建築ががちらほら見えてきます。開平望楼観光への期待が高まります。
開平には1900年代初頭に欧米から帰国した華僑が築いた洋風の建築が1800以上あります。労働移民として欧米へ送り込まれたこの地の出身の先代の華僑達が出世、財を成し、故郷へ錦を飾る為に建てた物です。
洋風の建物と言っても様々なスタイルがあります。ギリシア・ローマ・バロック等、豪華な装飾が施された建物もありますし、塔のように細長いもの、現代のビルにも通じるような四角い物もあります。
日程の第4日目、いよいよ開平望楼の観光開始です。まずは自力村望楼郡の見学です。ここは、田園風景に点在する望楼郡が一番美しく見られる所で、水の張った田圃に映える「逆さ望楼」が撮影できるのはここだけです。写真好きにはたまらない場所です。
この村の望楼郡の中には、現在でも子孫が暮らしている建物も有れば、今となっては持ち主が不明で、廃墟のようになっている建物もあります。子孫達の話してくれる先代の波乱万丈の物語は、とても興味深く、一棟一棟に歴史があるのだなぁと実感させてくれます。
世界遺産に登録されたと言っても、開平はまだまだ知名度が低く、中国人でも知らないという人がいる位です。今なら、まだ観光客が少なく、誰に遠慮することもなく、ゆっくり観光できるという利点があります。
まだこの地に足を運んだことの無い方は、有名な観光地になってしまう前に、一度訪れてみることをお勧めします。人恋しい望楼の住人達が、皆様を「熱烈歓迎」してくれること間違いありません。
(荒井千穂)
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