フランキンセンスレイル「乳香の道」
オマーン南部、ドファール地方は変化に富んだ地形をもつ地方です。フランキンセンスレイルを辿り、美しい砂浜より内陸部へ進むと山岳地帯があり、山を越えると砂漠「空白の地域」ルブアルハリ砂漠へと入ります。なんと非常に地下水が豊富で、砂漠の中にいきなり畑やスプリンクラーが姿を現します。現在の砂漠の町シスルには、かつてのキャラバン都市ウバール遺跡があります。町の片隅に大きな溝があり、そこからパイプで水が引かれ灌漑に使用されています。そこがウバール遺跡。キャラバン都市ウバールは、大きな城壁で囲まれ中庭があったそうです。そこに井戸が造られ、隊商達が長旅の疲れを癒し、旅支度をしたそうです。その井戸の水源から水が引かれている様子が伺えます。きっと古来よりたくさんのキャラバンや動物たちの喉を潤したのでしょう。また、乳香も炊かれ、ひと時の安らぎを与えていたかもしれません。
ドファール地方沿岸部には、シヴァの女王宮殿跡があるサムフラム遺跡があります。かつては近くの山より川が流れアラビア海へと注いでいました。たくさんの貿易船が停泊し、特に乳香の貿易で栄えたそうです。このドファール地方は古来より乳香で知られる地で、サムフラムに集積された乳香が、海へ内陸へと運ばれていきました。そんなわけで、世界遺産に指定されている「乳香の道~フランキンセンスレイル~」がるのです。北はパレスチナのガザへとつながり、地中海地方へと運ばれていったそうです。サムフラムより北へ向かうとワディ・ドゥッカと呼ばれる地域があります。そこでガイドさんが乳香の木の皮を削ぐと、白い乳香の樹液が出てきました。
形として殆ど残っていないフランキンセンスレイルは、旅人の夢を最大限に膨らませてくれるところかもしれません。そして今でもスークへ行けば、もくもくと乳香が煙をだしアラビアの不思議な空気をかもし出してくれます。
(添乗員:瀬川雅子)
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