シリアとヨルダン 赤白黒の色々遺跡
先日、シリアとヨルダンのツアーより帰国しました。シルクロードの中継地として栄えた街が点在するこの2カ国には、古くからの重要な遺跡が点在していますので、本当にたくさんの遺跡を見学します。それぞれに違った魅力があり、どれもとても印象深いものでした。今回は遺跡の「色」に注目して遺跡をご紹介いたします。
まずはツアータイトルにもなっている「薔薇色のペトラ」。紀元前2世紀頃からの遺跡が残るペトラの岩山は、少し赤みを帯びた砂岩で形成されています。ペトラは岩壁を彫って造られた岩窟墳墓が多いので、遺跡の様子も全体的に赤茶色。太陽の角度によって一日50色もの色を見せるという「エルカズネ」はペトラの最大の見所で薔薇色のペトラを象徴する建築物です。また、ペトラでは建築物だけでなく、岩肌そのものの色の芸術にも驚かされます。様々な鉱物の含有によって、赤茶色の砂岩がより濃い赤色や薄いピンク、黄色、オレンジ、緑、青や黒、白など様々な色に変化しています。まるで筆で染めたかのような天然の色の芸術。遺跡の素晴らしさに更に感動を添えてくれます。
続いて、シリアとヨルダンの国境近くにある「ボスラの劇場」。紀元後2世紀のローマ劇場ですが、全体の色合いは黒っぽい感じです。何だかすすけてしまっているような感じなのですが、実はこの辺り、世界でも最大規模の玄武岩の岩盤があるそうで、古代から使われてきたのは黒い玄武岩。さらに劇場の保存状態は世界一良いと言えます。ほぼ完全なまま2世紀の姿を残し、規模的にも世界有数の大きさを誇ります。黒っぽくて巨大なローマ劇場は大迫力です!
そして最後は「巨大遺跡パルミラ」。パルミラは広大なシリア砂漠のオアシスにある紀元後1世紀頃の古代遺跡です。ここでの色は「白」でしょうか。遺跡の石材はほとんどが石灰岩のため、街並みは少し黄色を帯びた白色をしています。また、博物館内の遺跡の発掘品には、美しい白の大理石の彫刻やレリーフがとても多く展示されています。絶世の美女といわれたゼノビア女王のもと栄えた、華麗で優美なパルミラの国が偲ばれます。白い街の遺跡に、ナツメヤシの緑と青空がとても綺麗なコントラストです。 今回は遺跡の「色」に着目してみましたが、こんなに様々な色を見せてくれる遺跡のある国は珍しいのではないかと思います。是非、一度訪れてみて下さい!
(安藤 幸子)
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