2008年6月27日 (金)

北部イタリア中世都市、城塞のオルヴィエート

Orvieto_wall 「イタリア大周遊 20日間」の後半はイタリアをローマ・フィレンツェ・ヴェネツィア・ミラノといったイタリアを代表する都市を中心に巡る「毎日がハイライト」の10日間になります。そしてイアリアの旅をより深く思い出深いものにしてくれるのが大都市の間に点在する中世都市です。

イタリアを旅していると小高い丘や山の上に町が作られているのをよく目にします。山の麓に広がる町や村の景色を見慣れた日本人にとってはとても不思議な風景に思えます。中世の時代、イタリアは数多くの「都市国家」が乱立する戦国時代でした。隣の町は別の国であり、いつ侵略してくるか分からない敵だったのです。そういった理由から町は要塞を兼ねる造りであることが求められ、山や丘の上に城砦状に発展していきました。

Corpusdomini 今回のツアーではそういった中世の城塞都市の面影を留める町をいくつか訪れる機会がありました。その中でも思い出深かったのが「聖体祭」を見るために特別に訪れたオルヴィエートの町です。「世界一美しい城塞都市」として名高いこの町はイタリア半島のちょうど中央部に位置する緑豊かなウンブリア州にあります。ブドウとオリーブの畑が果てしなく続く風景の中、隆起した凝灰岩の上に作られたオルヴィエートの町は遠くからでもよく見え、数ある城塞都市の中でも際立つ美しさです。標高300メートルの丘の上までケーブルーカーで登り、踏み入れたオルヴィエートの街並みはまさに中世イタリアそのもの。壮麗なドゥオモが町の中心にどっしりと聳え、迷路のような石畳の路地と石造りの建物が広がります。

キリスト教のミサの「聖体の儀式」の際にキリストの体を表すパンから血が流れ落ちるという奇跡が1263年のボルセーナで起こりました。その時血を受け止めた布は聖体布と呼ばれ、オルヴィエートのドゥオモに奉られています。聖体祭はこの聖体布が一般の人々の前に出される年に一度のお祭りです。ドゥオモ前の広場は聖体布を一目見ようと集まった人で溢れていました。中世の衣装に身を包んだ人々が続々とドゥオモより出てきて町を行進します。中世の商人、騎士、聖職者・・・色鮮やかなギルドの旗がオルヴィエートの町に翻り、本当にタイムスリップしてしまったかのような気分になります。パレードのクライマックス、ガラスケースに入り天蓋で守られた聖体布が多くの聖職者に囲まれてついに姿を現しました。700年以上の時を経て変色した布にかすかに「血」の跡らしきものを見たような・・・。

祭りの後、再び静けさを取り戻したオルヴィエートの町を散策しました。城砦の上からは遥かに広がるウンブリアの豊かな大地を見渡すことができます。古代エトルリアにまで遡るオルヴィエートの歴史。古の時代からこの地に住んだ数多の人々が眺めたであろう風景はイタリア屈指の美しさで今も訪れる人々の心に染み渡ります。

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