1日限りのインカ帝国復活
インティ=太陽、ライミ=祭り。あの大帝国を築き上げたインカ時代のお祭りです。舞台は帝国の都であったクスコです。現在の“クスコ”の町は当時“コスコ”と呼ばれていましたが侵入してきたスペイン人達が聞き間違え“クスコ”と呼び始めました。コスコは“ヘソ”の意。さすが帝国の中心地!という名前。
お祭りはコリカンチャ(太陽の神殿)から始まります。インカといえば剃刀の刃一枚も入らない石組みが有名で、コリカンチャも例に漏れずインカのすばらしい遺構を見ることができます。しかし16世紀にインカ帝国を征服したスペイン人達はコリカンチャの基礎部分だけを残しその上に教会を建てました。それがサント・ドミンゴ教会で、インカとスペインの複合建築になっています。この歴史を物語る神殿から、インカ時代を彷彿させる衣装を身に纏った人々が登場し、最後に皇帝を迎えます。この瞬間を待ち侘びた見物客からは歓声があがりました。皇帝のケチュア語での挨拶が終わると一行はアルマス広場~サクサイワマン遺跡へと移動します。それに合わせてクスコ中の人々が動くのでそれを見ているだけでも飽きません。世界遺産の街がまるで、繁栄を極めた当時にタイムスリップしたようです。サクサイワマン遺跡では指定席に座っての観覧です。サクサイワマン遺跡でのセレモニーは約2時間。ブトゥトゥ(ホラ貝で作った楽器)の音と共にタワンティン・スーヨと呼ばれる4つの州の代表が登場し会場はいっきに華やかになりました。その後は例に倣って王妃、皇帝が、今度はお御輿に乗って民衆の前に現れます。ここで行われるのはインカの時代の重要な儀式の数々!文字を持たなかったインカが使ったのはキープ。縄に結び目を作るもので、このキープで自分達の農業状況の報告などを行っていました。それからトウモロコシから作ったお酒、チチャを大地の神様に捧げる儀式、黒いリャマの心臓を取り出し、来期を占う儀式などなど。皇帝は「太陽の神様に感謝しよう!あなたたちは助け合って正しく生きなさい」と何度も繰り返しました。皇帝がどのように大帝国を築き上げ統制していたのか、目の前で繰り広げられる厳粛なセレモニーを見てわかったような気がします。
太陽の神、大地の神・・・自然が祈りの対象だった時代に造り上げた立派な建築、文化。毎年南半球の冬至の日にインカが蘇ります!
(古澤綾子)
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