2008年8月 6日 (水)

大自然と人間に魅了されるシルクロード ~中国・パキスタン国境越え~

Pakistan01 先日、「クンジュラブ峠越え、フンザと新タクラマカン砂漠公路縦断 12日間」の旅より帰国いたしました。
オリンピック開催を間近にして空港や国境での警備や検問が一段と強化されている中国から、標高4,943mと言われる国境クンジュラブ峠を越え、パキスタンの別天地フンザに滞在して7,000m級の山々を眺め、再びクンジュラブ峠を越えて玉の産地ホータンからは、昨年10月開通の全長420.7kmの新砂漠公路でタクラマカン砂漠を縦断するという見所満載のコースです。

天気を始めとして、何かと幸運に恵まれた今回の旅ですが、中でも忘れられないのが早朝ジープに分乗してフンザの谷を見下ろす標高3,000mのドゥイケルの丘に向かい、日の出パノラマを見学した時のことです。ホテル出発時には、周囲の山々の稜線はあいにく雲の中で、さらにポツリポツリと雨粒が落ちてきました。ところが、丘の上に到着してみると丁度満月の光がフンザの谷をそして山々の稜線を浮かび上がらせていました。とても大きく美しい満月でした。見る見るうちに雲が消えて行き、どんどん周囲の山の稜線もくっきりと見えてきます。日の出ではなくて月明かりに照らされたラカポシ(7,788m)の幻想的な美しさ。やがて朝日がラカポシ山頂の万年雪に当たり始めると、あまりの厳かな光景に私達は息をするのを忘れてしまいそうなほどでした。満月が山の端に没するのを惜しみながら見届けて丘を後にしましたが、現地のガイドも8年間で初めて目の当たりにしたというほど素晴らしくて珍しい光景でした。

さて、大自然の風景もさることながら、シルクロードの旅の大いなる魅力の一つは、やはり何と言ってもそこに暮らす人々ではないでしょうか。世界無形文化遺産に登録されている新疆ウイグル自治区の歌舞音楽ドランムカム。夕食後、メルケトからバスで約20分、日中は走行しないような農村の田舎道へと入って行きました。会場となる農家の中庭には、擦り切れた絨毯が四角形に敷かれて踊る場所となり、その周囲を座布団で囲んだ一辺には演奏と歌の担い手達が、向かい合った一辺には私達が座り、その後、日中の農作業を終えた村の農民達が続々とやって来て、握手をして挨拶を交わしてから空いている場所に座っていきます。女性は私達のさらに後ろに陣取っていました。乳飲み子はバザールで目にしたトイレ用の穴の開いた揺り篭に本当に縛り付けられて揺られていました。バザールで聞いたガイドの話通りの光景です。幼い子供達は無邪気にじゃれ合い縦横無尽に走り回り、整列するのは写真のモデルになる時だけです。踊り手にぶつかりそうになる子供をひょいっと抱き上げる人が必ずしもその子の親ではないというのも、核家族が当たり前になってしまった日本から見ると懐かしく新鮮な“一村皆家族”の光景でした。 Pakistan02

ドランムカムでは、お琴のような楽器カーヌンの調べが指揮者の役割も果たしますが、決して、せーのっ!という感じで始まる訳ではなくて、牛皮タンバリンのような太鼓ダップを叩いていた男性が朗々と歌い始めると弦楽器ラワップの音色とカーヌンの響きが違和感無く後に続いていきます。歌詞やメロディを知らなくても、思わず一緒に声を上げて歌いたくなるような心を揺さぶる歌と音楽です。踊り専門の人はおらず、程なく会場を囲んで座す百人余りの人の中から一人二人と踊る人が現われて、二人一組で踊り始めます。すると、ヨチヨチ歩きの幼子が真似をして両手を広げてクルクルと回り始めました。こうやって、民族の伝統的な文化が次の世代へと自然に伝わっていくのだと実感した瞬間でした。

中国は広大な国土を持ちながらも北京時間を標準時間としていますが、新疆ウイグル自治区では、地元の人々は北京時間から時計の針をマイナス2時間した新疆時間で生活しています。彼らにとってはまだまだ夜はこれから!という時間でも北京時間で旅を続ける私達の時計は、既に真夜中近く・・・。断腸の思いで盛り上がる中庭を辞したのでした。いにしえより様々な人々が行き来したシルクロードに生きる人々の体には、旅人をもてなす血が脈々と受け継がれているのでしょう。豪華な料理や高価なお酒による歓待なんかよりも旅人に自らを異邦人と感じさせないことこそが最高のもてなしなのではないかと感じた夜でした。
是非、皆様もシルクロードへ訪れてみてください!!(竹内)

クンジュラブ峠、フンザ、タクラマカン砂漠、新疆ウイグル自治区を訪問するツアーはこちら

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