見る、感じる。新疆で得た生命のエネルギー(中国)
先日、「新砂漠公路縦断!タクラマカン砂漠のオアシスを訪ねて 9日間」より帰国致しました。
7月の新疆は、日差しの強さもなんのその、人々の活気で溢れていました。オリンピックを目前に控えた今、中国に降り立った瞬間から、満ち溢れているエネルギーを肌で感じます。
その人々の活気を特に感じたのはバザールです。そして今回訪れたシルクロードのオアシス都市の中で最も盛り上がっていたのは、カシュガルのバザール!日曜ともなれば、一家総出でそれぞれの町のバザールへ繰り出すウイグル族の人たち。一週間分の買い物をしようと、町の人皆がバザールを訪れます。買う人、売る人、やり取りを見物する人…子供も大人も関係なく、皆が盛り上がります。もちろん、値札はありません。ここは各国のキャラバンたちが集った、民族の十字路。全部交渉次第です。ドライフルーツや果物はもちろん、楽器や生活用品など、ここで買えない物はありません。元気な呼び声につられて迷路のようなバザールを見ていると、時間を忘れて見入ってしまいます。
そして、バザールにはもうひとつ、見入ってしまうものがあります。それは、行き交う女性たちの美しさ。ここ新疆のウイグル人女性達は皆、色鮮やかなシルクのスカーフを巻き、キラキラしたワンピースをなびかせ、バザールを穏やかに歩いています。その美しさ、色鮮やかなスカーフから覗くエキゾチックな瞳を見ると、ここは中国なのかと疑ってしまいます。
カシュガルの人たちの熱気に圧倒された旅の前半。後半からは、うって変わって新疆の素朴な風景と、人々の温かさに心動かされる出来事が多くありました。
その中でも、深く心に残った出来事がありました。それは旅のハイライト、新砂漠公路縦断の日のこと。この新砂漠公路は昨年10月に完成したばかりの新しい公路で、今までは死の海、タクラマカン砂漠を渡るにはニヤ~クチャ間の公路しかありませんでしたが、この新しい道ができたおかげで、ホータン~アクス間の縦断が可能になりました。
いよいよ縦断の日。朝7時という早朝出発でしたので、皆様眠い目をこすりバスに乗り込みました。朝の7時という時間は北京時間での時間を指しており、新疆時間は北京から2時間遅れているので実際には朝の5時!あたりはまだ薄暗く涼しい早朝です。もうすぐ朝日が昇る時間だということで、もしかしたら砂漠の真ん中で朝日を望めるかもしれない!という状況でした。それからまもなくして砂漠公路に入り、古い公路よりもまわりに緑が多いことに気付きます。それは、この新砂漠公路がホータン川に沿って作られているためです。砂漠の地下に水があれば、そこには植物が育ち根を廻らせ、木には葉がつきタマリスクは花をつけます。この新砂漠公路は、砂漠でありながら貴重な命の水を得た植物の生命力と、死の海と呼ばれたタクラマカン砂漠の壮大さ、過去のシルクロードのロマンをそのままに残す場所を見渡すことが出来る道でもあるのです。
前日雨が降ったこともあり、砂漠自体は湿っていてしっとりしていました。そこで、少しずつ明るい筋が見えてきた東の方を見渡すと…目の前には、薄暗い空を照らす金色の光が見えました。その瞬間歓声があがり、バス1台さえ通らない早朝のタクラマカン砂漠へ飛び出しました。朝日を目の前で見た瞬間、なんともいえない感動が押し寄せてきました。
地平線の彼方まで広がる砂丘。砂の大地に根を張る胡楊樹、ベニヤナギ、タマリスク。正面からぶつかってくる朝日の光。砂丘のてっぺんからその光景を見たとき、タクラマカン砂漠に立っていることを忘れて立ち尽くしてしまいました。新公路でこんなに素晴らしい朝日を見ることができ、満足感でいっぱいの新公路縦断でした。
そのほかにもツアー中、偶然にも、一面に広がる紅花やマリーゴールド、サフラン畑を見つけたり、南疆鉄道では夜中、落ちてきそうなほど近くに感じる星空と天の川を見ることが出来たりと、新疆の自然な風景に心癒される体験も多くありました。もちろん、ポプラ並木にロバ車がゆっくり近づいてくる風景も楽しみました。
日本では見られるところも少なくなった田舎の自然の風景と、ありのままの自然と共存しているウイグル族の人たち、そして砂漠の生命力と朝日に、たくさんのエネルギーをもらった旅でした。(奥谷真弓)
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