前人未到の西部アイスランド
午前は古い漁師小屋を復元したオゥスヴォル博物館へ。案内人が実際に昔の漁師の服装でご案内。服は羊の皮(6頭分)を使った特製品。魚の油を塗って防水しています。手袋は穴が開いても裏返してすぐ使えるように、両面に親指を出せるという斬新なデザイン。腰に巻いた紐は、ベルトの役割と共に、落水時すぐ助けられるように(服は滑るから)。靴は鮫や羊やアザラシの皮を使って作っています。冬場はさらに滑り止めとして鮫皮の特別な履物もあります。他にも8人のチーム制をとった伝統的な漁生活の話や、実際に輸出用の肝油樽や雪を入れて凍らせて肉を保存していた冷蔵庫などが保存されている倉庫、冬場や悪天候時の作業場兼住居の建物や風通しの良い造りの肉の乾燥場など、非常に興味深い話をたくさん見聞きすることが出来ました。
午後はイーサフィヨルズルからボートで絶景のフィヨルドクルーズをしながら、人間の手に汚されていない自然が残るヴィーグル島へ。この島は、島全体が自然保護区となっており、パフィンを始め、北極アジサシ、クロウミガラス、ケワタガモなどの営巣地があります。ちょうど野鳥の繁殖期だった事もあり、通常あまり見られない鳥たちを間近で観察しながら島を一周しました。野鳥たちの巣の近くを歩くので、全員長い棒を持たされます。これは子供達を外敵から守るために人間の頭スレスレまで襲ってくる北極アジサシから身を守るためで、一列になった観光客は、頭の上で棒をブンブン振り回しながら歩きました。
お客様から特に人気が高かったのが、パフィンという鳥。ヴィーグル島にはおよそ8万羽のパフィンが生息しています。主に食用として捕獲され、島の住人にとっての重要な収入源の一つとなっています。通常は近くで見る事はおろか、姿すら見る事が叶わない事が多い鳥ですが、こんなに近くでたくさん見る事が出来たと皆様大喜びでした。南国の鳥のようにカラフルな鳥ですが、海鳥のくせに空を飛ぶのが苦手で、風がない日は勢いに乗れずに岩にぶつかってしまう事もあるんだそう。実は飛ぶ事より泳ぐ事の方が得意なんだとか。小さな羽根を一生懸命バタつかせている姿は何とも言えず、愛らしい鳥でした。(写真は拡大して見て下さい)
西部の見所はたくさんありますが、西部の魅力の一つにその変化に富んだ地形があります。何百年も前に火山が噴火してできたという断崖、土漠、苔むす溶岩台地、美しい海岸線、およそ6500万年前からの度重なる溶岩の流出によってできた西部最大の滝など、車窓からの景色がクルクルと変わり、我々の眼を楽しませてくれます。特に素晴らしい風景は西部フィヨルド地域にありました。アイスランド全体の沿岸線の半分を超える、全長約2500kmのフィヨルド沿いには、アイスランド版グランドキャニオンとも言える、岸壁に見える何層もの滑らかで美しい断層がその歴史を物語るような圧倒的な迫力で目の前に広がっていました。アイスランドの渓谷は氷河が削って作ったもので、米国のそれとは生い立ちが違いますが、また違った魅力があります。次から次へと連続するフィヨルドはひとつとして同じものはありません。高く険しい山岳が連なり、幾重にも入り組んだ沿岸部やクリフが、信じられないほど夥しい数の海鳥にとって絶好の棲息地となり、人がほとんど居住しない純粋にワイルドな自然が残る完全なる新世界ゾーン。アイスランドに行った事がある方も、ない方も、是非ご覧頂きたい絶景です。(村上)
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