2008年10月30日 (木)

砂漠の下にある意外なもの・・・リビアの国家プロジェクト視察記

Gmr  「サハラのオアシス・ガダメスとリビア探訪 12日間」のツアーより帰国しました。北アフリカに位置するリビアはこの秋でも陽射しが強く、日中の最高気温は30℃近くまであがりますが、カラッとしていて観光にはちょうど良い気候でした。今回の旅の前半では地中海沿岸部に沿って点在するギリシア・ローマの巨大遺跡を歩き、後半は南下して幻想的なサハラ砂漠を体験してきました。
 ところで、リビアは国土の90%以上を砂漠が占めているのをご存知でしょうか?地域によっては海岸のすぐ傍まで砂漠が迫っています。このリビアの広大な砂漠の地下には石油と共に、ある驚くべき、意外なものが眠っているのです。
 
 それは巨大な地底湖です。
 しかも太古の昔から長い年月をかけて貯まっているので「化石水」と呼ばれています。実は、この膨大な化石水を汲み上げて、巨大パイプで地中海沿岸部までひき、緑豊かな農地を広げようという驚くべき壮大な計画(GREAT MAN MADE RIVER,略してGMR)が指導者カダフィさんによって実行されており、しかも工事も終盤を迎えているというのです。サハラ砂漠に向かう移動中に工事現場を視察してきました。
Photo  首都トリポリを出発し、郊外に出るとすぐに乾燥した土漠が広がっています。ゴロゴロと石が無造作に転がっていて僅かに草が生えているだけの荒涼とした大地。更に南下すると地層がむき出しのテーブルマウンテンがいくつも見えてきて、植物の緑は全く見られなくなりました。陽射しも肌を突き刺すように強烈です。過酷な砂漠を走っていて、孤島のように緑のオアシスが見えてくると何故かホッと安心します。土漠を抜けると、次第に「砂漠」らしい砂丘もチラホラ出現してきました。朝トリポリを出発してからはひたすらバスに揺られ続け、砂漠の入口に到達するまで丸一日。そろそろお尻が痛くなってきた頃に、炎天下の中、砂漠のど真ん中で黙々と作業を続ける人影とクレーンが見えてきました。バスを止め、近くで工事を視察。転がっているパイプの中に入ってみると、両手を左右上下に延ばしてもまだ空間にゆとりがあって、直径4Mのパイプは想像以上に巨大です。その巨大パイプを地下7Mに埋めて繋ぎ合わせてゆく作業は見ているだけでも、気が遠くなります。最終的には25万本ものパイプを繋ぎ合わせて、総延長4000KMにもなる予定だとか・・・。
何とダイナミックでお金のかかる計画でしょうか!!
 日本には無い、圧倒的なオイルマネーの強さと人々が抱く水への強い期待を実感しました。実際にリビアの人々はこのパイプラインができあがるのを心待ちにしているようです。
ダイナミックなのは沿岸部の古代遺跡だけではありません。砂漠の中を延々と続くパイプを見て、カダフィさんの強力な指導力、産油国リビアの底力を垣間見た貴重な体験でした。
 皆様も是非、リビアの砂漠に立って見てください。工事が終わらないうちに。
 (上田晴一)

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