本当の桃源郷、怒江大峡谷(中国・雲南省)
雲南最後の秘境怒江大峡谷8日間より帰国いたしました。
中国南西部に位置し、中国にいる55の少数民族のうち25の少数民族が住まう雲南省。経済発展の著しい中国にあっても、今なお人の手付かずの大自然や、特殊な文化の中で生きる少数民族の多い地域です。今回はそんな雲南省の最西端、ミャンマーやチベットに境を接する怒江リス族自治州の怒江大峡谷を堪能して頂きました。
怒江はミャンマーのサルウィン河の上流にあたり、メコン河・長江の上流である瀾滄江・金沙江と合わせて、「三江併流」として世界自然遺産に登録されております。そんな怒江の両側には、特殊な自然環境の中で暮らしてきた怒族・リス族といった少数民族がいます。彼らとの出会いも今回の旅を豊かにする大きなスパイスでした。
今回は特に彼らの新年のお祭り「闊什節」とあって、華やかな民族衣装に身を包み、歌や踊りなど盛大なイベントが行われました。周辺地域の少数民族が一堂に会するこの日は、普段静かなこの街も、どこから来たのかと思うほど大勢の人で活気に満ち溢れてました。
六庫でのお祭り見学を終え、いよいよ大峡谷を北上。高黎貢山と横断山脈の支脈碧羅雪山が作るこの大峡谷は、まさに人が自然に包まれている、といった実感を得る絶好の場所。同時に山の高いところにポツポツと見える民家は「あんなところまでよく住むなぁ」というお客様の声の通り、人間のたくましさを感じずにはいられませんでした。この地域では河の両岸に人が住んでいるのに道路は片岸のみ。そのため2㎞に最低一本は橋があるといわれ、新旧100本以上の橋が架けられているのです。昔ながらの木造のつり橋から、最近出来た鉄筋のもの、さらにはリス族伝統の滑車での怒江横断と、「橋の博物館」といわれるのも納得です。
旅のクライマックスは雲南の桃源郷と云われる丙中洛。そこは怒江が180℃湾曲する「怒江第一湾」を始めとし、山肌に絶景の広がるノスタルジックな街道町。街は少数民族であふれ、立ち寄った小学校では90%が少数民族とのこと。さらにこの街には、教会やパゴダがあり、リス族の信仰するキリスト教・ラマ教、原始宗教など様々な宗教が平和に共存する、精神的な桃源郷でもあるのです。
そしてこの旅行中に何度か少数民族の村を訪ね、教会や民家、小学校を訪れましたが、皆突然の訪問にも穏やかに受け入れてくれました。沿道の村に立ち寄れば、カメラにはにかむ子供達など、その素朴な様子はどこか懐かしさを感じ、心温まる情景でした。決して豊な生活とはいえない彼ら少数民族が、笑みを絶やさず、穏やかでいられるのは12月の半ばだというのに菜の花の咲く温暖な気候の影響でしょうか。そんな素朴な少数民族と圧倒的な大自然が織りなす怒江の景観は、自然との調和を大事にする彼らが創り出す一種の芸術作品。
2003年に始まった怒江のダム建設計画。現在、周辺環境と住民への影響を考える国際世論によって凍結が決められているこの計画が、再発しているとか。最後の秘境が本当に最後にならないことを祈ります。
犬も猫も牛も豚も宗教も民族も自然も共存できる。そんな桃源郷、怒江の大峡谷。大自然に身震いし、少数民族にふれあい心がほっとする。そんな体験のできる数少ない地域です。皆様も秘境中の秘境怒江大峡谷へ是非おこしください。
(山岡)
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