アーモンドの花に魅せられて~南イタリアとシチリア島~
先日、「南イタリアとシチリア島 11日間」の旅から帰国致しました。この時期、南部イタリア(南イタリアとシチリア島)では薄いピンクのアーモンドの花が咲きます。
今回のツアーではこのアーモンド開花の時期に合わせて行われる国際フォルクローレのお祭り「アーモンド祭」のフィナーレ鑑賞が一つの目玉。シチリア島有数のアーモンドの産地、アグリジェントに世界各国から民族衣装を着た人々が集まり賑やかなパレードが行われるのです。 この日は朝からアグリジェントの町に繰り出し、次第に活気を増してゆくメイン通りをパレードスタート地点の広場まで遡ります。路上にはアーモンドやピスタチオのお菓子、いろいろな民芸品を売る出店が並びお祭り気分が高まってきます。
10時過ぎ、澄み切った空に賑やかなラッパの音が鳴り響き、いよいよパレードのスタートです。トップバッターはブルガリアのグループ。人々は自分たちの国の民族衣装を得意げに身にまとい伝統の踊りを披露します。中には可愛らしい子供もいて、小さな身体で一生懸命踊って私たちを楽しませてくれます。 趣ある石畳の小路を色とりどりの衣装が舞い、民族音楽の楽しげなメロディーが早春の風に乗って心地よく耳に響きます。踊りや音楽というのは国を越えて人の心を一つにします。私たちの中にも陽気な踊りのグループに誘われて一緒にパレードに参加された方も。皆さん大はしゃぎです。誇らしげに踊る人々を見ていると、彼らは自国の文化や伝統にとても誇りを持ち、それを大切にしていることが分かります。世界各国の出場グループの中に日本のグループが見られなかったのが少し残念でしたが、私たちも日本の伝統文化を大事にしようと思えた一日でした。次はアーモンド祭出場も!?
アーモンドにまつわる一つの伝説があります。その昔、セラスという国に美しい女王がおり、ギリシアからの英雄デモフォと恋に落ちました。しかしデモフォはギリシアに戻らなければならなくなり、二人は再会を約して別れます。しかし悲しくもこれが永遠の別れとなりました。暫くして女王のもとにデモフォの訃報が届きます。彼の死を知った女王は悲嘆に暮れ、頬からは涙がとめどなく流れました。時が経ち、女王が涙を流した所に木が育ち、やがてピンクの花が咲き水滴に似た形の実がなりました。これがアーモンドの木だといわれています。
そこここに咲く薄いピンクの可憐な花は、なるほど女王の儚い恋を象徴しているようにも思えます。また、イタリア南部の澄み切った空、海の青にもよく映えます。アグリジェントの神殿の谷に群生して咲き誇るアーモンド、ラグーサやアマルフィーで、路上に、海岸沿いにポツンと咲くアーモンド、華やかにも、控えめにも見えるこの花は、日本の桜にそっくりです。遠く離れたなイタリアの地で、アーモンドの花に魅せられてしまった11日間でした。(川人)
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