守られる自然・ニュージーランド
ニュージーランドは南半球にある国で、日本とちょっとだけ形が似ています。日本では本島に当たる南島と北海道のような北島という風にイメージしていただくと分りやすいかもしれません。ニュージーランド国土の20%以上は国立公園や原生林、自然保護区となっていて、原生林や森林などの植物、山、渓谷、氷河、河川、湖など変化に富んだ手付かずの大自然が残っています。
南島のハイライト・マウントクックでは、部屋から山が見えるハーミテッジホテルに2連泊し、ニュージーランド独自の植物や氷河湖を見ながらのハイキングを楽しみました。他にも数千年の氷河が刻んだ大自然の彫刻フィヨルド・ミルフォードサウンドのクルーズや、イエローアイドペンギンが見られる野性動物の宝庫・オタゴ半島などまさに自然満喫の南島です。また、移動はバスだけではなく、一部にタイエリ渓谷鉄道やトランツコースタル号など列車を利用しました。ニュージーランドの景色は、牧場・羊・山・川・空そしてまた羊といった緑・青・白の繰り返しですが、列車に乗ると同じ景色も新鮮に見えて来るから不思議です。
北島もまた自然が豊富ですが、南島と違うのは先住民マオリ人が多く住んでいるという事です。トンガリロ国立公園でも自然満喫のタラナキフォール・トレッキングを楽しみ、ロトルアではマオリ・ダンスや、ポリネシアン・スパなどマオリ独自の文化を体験。また、普通のツアーではなかなか訪れる事のないノースランドにまで足を伸ばしました。ノースランドはオークランドより北に位置する半島で、11世紀に最初のポリネシアからの航海者(マオリ人)がたどり着いたといわれている所です。ノースランドではマオリ語の地名もよく見かけますし、ワイポウア森林保護区にはマオリの人々が御神木として大切にしているカウリの木が多く残っています。カウリという木は、高さ50m直径4mにまで成長する常緑針葉樹で、世界最大・最長樹齢となる木のひとつです。背が伸びるにしたがって下の方の枝が落ちて行くので、根元から最初の枝までは10m以上もあります。節目のない美しい木が取れるために18世紀末~20世紀には巨木の多くが伐採されてしまい、元々あった森の98%が失われてしまったそうです。マオリの人々は森に入る前には森におじゃまさせてもらうという事でお祈りをするそうです。
私達も、森を案内してくれたマオリ人のターフィさんと一緒にお祈りをして入りました。そしてターフィさんは「小さい物こそが大切」ということわざを教えてくれました。足元にあるとても小さい一本の苗木を守るように立ち、「今はこんなに小さな苗木ですが1000年後にはタネ・マフタのような大木になるのです。どんなに大きな大木でも全てはこの小さな小さな苗木から始まったのです。」と言いました。「タネ・マフタ」とはマオリ語で森の神という意味の名を持つ樹齢1200年・高さ52mの大木です。森の中はとても静かで、太陽の光を多くの木が遮り、森の中独特の冷たく澄んだ空気が流れていました。その中を土の感触を感じながら奥に入ってゆくと「タネ・マフタ」が静かに佇んでいました。ターフィさんはタネ・マフタを前に歌います。歌の内容は「森も木も水もとても貴重だけど人間も大切。人間の手により多くを失ったけれど、減りつつあるこの美しい自然をこれ以上失わないように、また森を蘇らせるように努力が出来るのも人間。」というものです。ターフィさんの歌声はとても力強く神秘的に森の中に響いていました。マオリ語の分らない私達にもその気持は伝わり、私達は再び神聖な気持で静かに祈りました。
マオリ人だけでなく、ニュージーランドの人々はみんな自然を愛し、守ろうと努力しています。美しい自然、豊かな自然、自然の恵み、私達はいろいろな所でこのような言葉を口にしていますが、「自然を守る」という事を忘れてはいけないと感じました。(関根三恵子)
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