中国・河西回廊の旅~おいしい牛肉麺~
シルクロードの出発点である西安から、河西回廊のオアシス都市をあますところなく訪れるこちらのコースでは、敦煌の莫高窟だけでなく、天水の麦積山石窟や瓜州の楡林窟といった素晴らしい仏教美術をじっくりと見ることが出来ます。それぞれの石窟ごとに特徴があり、そこでなければ得ることの出来ない感動があります。忙しく通り過ぎて、これらを見逃してしまうのはとてももったいないでしょう。また、少しずつ西へ西へと進んでいくと、訪れる町々によって人々の雰囲気や町の空気が「西方の匂い」といったものへ、だんだんと変化していくのを感じます。そんな西域の雰囲気を特に強く感じたのは、黄河の流れる町、蘭州を訪れた時でした。
皆様、「牛肉麺」をご存知でしょうか?「蘭州拉麺」とも呼ばれ、牛肉でダシをとったスープに、手打ちで伸ばした麺を入れた料理で、蘭州の名物料理となっています。ここ蘭州には西域でよく見かける回族が多く住む町で、イスラム教徒である彼らは豚肉を食べることがありません。中華料理といえば豚肉を使用した料理が多いのですが、このあたりではほとんど豚肉を食べることが出来ません。その代わりに牛肉がよく使われ、特に蘭州の牛肉麺は絶品として有名で、この町だけでも数千もの牛肉面店が軒を連ねます。
それほどのものなら、一度は食べてみたい。ちょっと興味をもって下さった方、ご安心ください!こちらのツアーでは、蘭州に滞在中のお夕食時に名物牛肉麺をお召し上がりいただきます。
ご一緒したお客様の熱いご要望により、ガイドさんにお願いして、夕食後、町の夜市へとくりだしました。通りの両側にはいくつもの夜店がひしめき合い、料理人も食事をしている人々も大声で何かを話し合い、活気溢れる光景が広がっていました。回族独特の白い帽子をかぶった料理人たちがシシケバブを焼き、あちこちで上がる大きな火柱とぶら下がった大きな羊肉のかたまりが、北京や台北との夜市とは明らかな違いを感じさせます。その熱気に気圧され、私たちは西域へ来たんだということを改めて実感しました。
もちろん牛肉麺の夜店もずらっと並んでいます。丸い団子を鮮やかな手つきで引き伸ばし、あっと言う間に糸のような麺を作ってしまう若者もいれば、団子を刃物で削って湯の中へ飛び込ませていく、曲芸のような刀削麺を作るおじさんも。あちらこちらで行われるエンターテイメントのようで、思わず人ごみの中立ち止まってじっと見入ってしまいます。
実はホテルの朝食にも出てきた牛肉麺。面白いなと感じたのは、麺の形が決まったものではなく、細長いものもあれば、平べったいものもあり、作るお店によって、多種多様なのだということ。皆様と一緒にたくさんの牛肉麺を食べましたが、どれも絶品。忘れられない味となりました。
蘭州より西方にも行くと、敦煌の驢肉黄麺(ロバ肉の麺)や、トルファンのハミ瓜などまだまだその土地ならではの食事はたくさんあります。それらは皆様が実際にこの町々を訪れた時に味わって頂き、それと同時に西域の空気を感じ取ってください。きっと思い出深いものとなるでしょう。
(吉田理)
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コメント
私も蘭州の夜を、一人ホテルから抜け出して歩きましたが、町が大きい上に人の多いこと。やはりガイドさんがいないと牛肉麺にはありつけませんね。夜店が並ぶ場所には行けませんでした。
実は、「黒水城(カラホト)とゴビ砂漠紀行」のコースで、私も食べているのですが、一種類の牛肉麺では味の評価ができないということで、出かけたわけです。
今年もシルクロード方面に行きますので、牛肉麺をまた食べてみたいですね。
投稿: 山田栄作 | 2009年4月12日 (日) 00時14分
山田様、コメントありがとうございます!
蘭州の夜に繰り出したんですね!おっしゃる通り大きな町なので確かにガイドがいないと、夜店を探すのは大変かもしれません。。
次回シルクロードへご旅行された時は 是非、添乗員やガイドへご相談ください。そして再びおいしい牛肉麺を食べましょう!
投稿: 吉田 | 2009年4月30日 (木) 19時00分
吉田様、コメントの回答ありがとうございます。
来月の「古都・西安から西域シルクロードの道」が、催行決定となりましたので、蘭州でまた牛肉麺を食べられそうです。
ところで、ツアーで行く牛肉麺の店は、いつも決まっているのでしょうか。前回は、金鼎牛肉麺を食べたと思います。
投稿: 山田栄作 | 2009年5月 1日 (金) 22時49分
山田様、コメントありがとうございます!
牛肉麺の店ですが、決まったお店ではございません。
私は毎回違うお店でしたが、1度だけ同じお店のことはありました。
いつもおいしく牛肉麺を頂きましたよ。
「古都・西安から西域シルクロードへの旅 15日間」
のツアーへお申込みありがとうございます。少しずつ暖かくなってきますし、良い季節だと思います。
出発が近づいてきましたが、お気をつけて行ってらしてください。
投稿: 吉田 | 2009年5月 7日 (木) 19時00分