ヨーロッパの緑の真珠、スロヴェニアへの旅
先月末、北イタリアとスロヴェニアへの旅行から帰国しました。9日間、ほとんど雨に降られることもなく、爽やかなアルプスと湖水、アドリア海の美しい風景を堪能してくることができました。
冬季五輪で有名になったドロミテ街道の終着点、コルティナ・ダンペッツォ。近づくにつれ、ドロミテの奇岩群が車窓に現れて胸が高鳴ります。ドロミテ深く抱かれた町は、世界各国から避暑にやってきた人びとで華やぎ、ホテルのスタッフの心温まるホスピタリティに長い山道の疲れも癒され、ゆっくり休むことができました。翌日も快晴に恵まれ、ミズリーナ湖へ。ここからクリスタロ山系をぐるり一周し、3つの峯をもつトレ・チーメ山群の北壁を望むことができました。ドロミテ地方には、小さな沼や湖が点在し、独特の景観を生み出しています。またこの辺りは大河の源泉ともなっていて、一つはヴェネツィア近くでアドリア海に注ぐピアーヴェ川、もう一つは中欧・東欧を流れ黒海へ注ぐドナウ川の源流の一つとなっています。 スロヴェニアは知る人ぞ知るワインの産地。カリフォルニア・ワインの原種とも言われる古い葡萄種が現存し、工場での大量生産ではなく、農家ごとに丹精込めたワイン造りが今なお受継がれています。
スロヴェニアに入って一番最初に滞在したのは、「南のベルリン」ことノワ・ゴリツァ。東西冷戦の時代には、この町の上にイタリアとスロヴェニアの国境線が引かれ、以前は仲良く共生していた人々を鉄の壁が数十年にわたって分け隔てたのです。鉄道駅の前にはその歴史を物語るモニュメントが置かれていました。
その後、アルプスに端を発して一路アドリア海へと注ぎ込むエメラルドグリーンの奔流、ソチャ川に沿って一路スロヴェニアを北上。この地は第一次大戦中、カポレットの戦いなど、史上最悪の山岳戦の舞台ともなり、ヘミングウェィの「武器よ、さらば」の舞台となった場所です。そのような惨事が起こったとは到底信じらないような、瑞々しい水と緑の風景が延々と広がっています。
ブルシチ峠は、スロヴェニアのいろは坂とも言うべきドライバー泣かせの峠道。合計50のカーブを上り下りしますが、その一つひとつに番号がふられており、道中飽きさせません。 最後の訪問地は人口20万人のスロヴェニアの首都、リュブリャナ。働きもののスロヴェニア人は、毎朝早くから市場に採れたての農作物をもって集まります。色とりどりの新鮮な野菜や果物を見ているといつまでいても見飽きることがありません。
中世の街並みをそのままに今に残し、また美しい自然と共存する人々に触れて、「本当の豊かさとは?」と考えさせられました。
(石堂 佐和)
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