2009年8月28日 (金)

マグレブスタイルの四角いミナレット ~モロッコでイスラムを感じる旅~

Hassan2nd_2 先日「モロッコ・サマースペシャル 9日間」の添乗より帰国致しました。
 
現在モロッコは夏真っ盛り!なので気温も相当高くなるのでは?私もお客様も熱中症にならないか心配しましたが、いざ現地に行ってみると、フェズやワルザザードは30℃くらいで意外と過ごしやすかったです(ここで30℃なのになんで過ごしやすいの、と疑問に思われる方もいらっしゃるかと思いますが、モロッコは日本と違って湿気があまりないので30℃でも過ごしやすいのです)。マラケシュは40℃近くまで気温が上がりましたが、それでも私は東京の40℃よりは過ごしやすいと思います。

さて、モロッコといえばイスラム教を信仰している国なので、街の至るところにモスクをご覧頂くことができます。そしてモスクには必ずミナレットがございます。ミナレットとは、1日5回の礼拝を呼びかける(アザーン)ために使われる尖塔のことであります。かつては人がミナレットの上に登って地声で呼びかけを行っていましたが、現在はミナレットの上に設置されたスピーカーを介して、付近の住民に呼びかけられています。ですので、イスラム教国にいらっしゃったことのある方は経験されていると思いますが、モロッコでもアザーンで目を覚ますという経験をすることができます。そして、そのミナレットの形ですが、同じイスラム教であっても、国によってはその形が違います。例えばイランでは均整のとれたすっきりした円塔で、中央アジアは色鮮やかな幾何学模様の円塔。トルコは非常に細長くて先が尖がっている、いわば鉛筆のような形をしています。ではモロッコのミナレットは?

Kutubia_2 答えは四角形です。そもそも初めて北アフリカの地にイスラム教が根付いたのは7世紀頃で、アラブ人が現在のチュニジアのカイラワンに街を造り、同時にそこにモスクが建てられました。そのときのミナレットの形が四角形であったです。その後アラブ人は西へと進み、北アフリカでアラブ人によって2番目に造られた街がモロッコのフェズです。さらに北アフリカにとどまらず、ジブラルタル海峡を渡り、スペイン南部(アンダルシア地方)にもイスラム教は広がっていきました(セビリアの大聖堂にある「ヒラルダの塔」ももとはモスクのミナレットで、やはり四角い塔です)。このように北アフリカ(チュニジア、アルジェリア、モロッコ)やスペイン南部に建てられた四角いミナレットを「マグレブスタイル」といいます。マグレブとはアラビア語で「日が沈むところ」を意味しており、先述の北アフリカ3カ国をマグレブ諸国といいます。

今回、数あるモロッコのミナレットの中でも、カサブランカにある「ハッサン2世モスク」のミナレットを紹介させて頂きます。ハッサン2世とはモロッコの前の国王で、彼の命によって、1987年に着工、それから7年の歳月を経て1993年に完成したモスクです。モスク自体もサウジアラビアのメッカ、メディナに次いで3番目に大きいモスクですが(ただ非イスラム教徒が入れるモスクしては世界一)、ミナレットの高さは200mと世界一です。さらにこのミナレットは歴史が浅いまだまだ新しいのですが、その分現代化が進んでおり、例えばミナレット上部からはなんとメッカの方向に35km先まで届くレーザー光線が出ます。またミナレットの中には2基のエレベーターもあり、下部には巨大なシャンデリアもありますが、なんとこのシャンデリア、電動で上下に動きます(掃除やメンテナンスのため)。もっともモスク自体も天井が開閉したり、冬の寒いときに備え床暖房が使われたりと現代化(オートメーション化)が進んでいます。

他にもモロッコには、フェズの旧市街にあり世界最古の大学の1つでもある「カラウィンモスク」、フェズと並ぶ古都マラケシュのシンボルでもある高さ77mの美しいミナレット「クトゥビアの塔」など、数々の素晴らしいミナレットやモスクも点在しています。ですので是非一度モロッコに来て、アザーンを目覚まし時計代わりし、ミナレットやモスクを眺めることにより、イスラムを肌で感じてみてはいかがでしょうか。(添乗員:斉藤信)

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