9259キロを走破! のんびりシベリア鉄道の旅①
「シベリア鉄道走破の旅 15日間」の旅から帰国しました。
旅情溢れるシベリア鉄道は、多くの人が一度は乗車してみたいという憧れを持つ一方で、ずっと車内で過ごすのは退屈しないだろうかという心配があるのも事実だと思います。 そこで今回は2回シリーズで車内の過ごしを中心に添乗レポートをお届けいたします。
今回乗車したのは極東ウラジオストクから終着駅モスクワを結ぶロシア号。全区間で6泊7日の行程ですが、私達は2回ほどぶらり途中下車をしながらモスクワを目指します。8月のロシアは白夜のシーズン。夜の10時頃まで夕暮れのようにうっすらと明るいシベリアの大平原に向けてロシア号は静かにプラットホームを滑り出しました。
出発してから各人の就寝時間までは荷物の整理やベッドメイキングなどで大忙し。外の景色を見るゆとりもありません。一夜明け、窓の外を眺めてみると白樺や松林、小さな平原が交互に現れてきます。シベリア鉄道は人家も殆ど無い未開の荒野を走り続けているのです。ロシア人も我々日本人観光客も皆、黙ったまま過ぎ去ってゆくシベリアの荒野を見つめ続けています。とうとうシベリアの地にやってきたんだ、という実感が沸いてきました。
車中での食事はもちろん、食堂車です。食事の度に客車づたいに食堂車まで移動するのですが、意外と開放的なロシアの人々は客室のドアを大解放していて中は何と丸見えです。上半身裸でうろうろするお父さんや廊下を走り回る子供達、食事時になるとお母さんの手料理の匂いが充満し、各車両は庶民的な空気がムンムン漂う、まるで下町のような雰囲気です。食堂車に移動する度に各客室をチラリと覗き見するのが大変興味深く、恒例となってしまいました。
旅の食事を左右する食堂車のコックさんは大柄のお母さんであることがほとんどでした。市街のレストランとはまた一味違った、まさにお袋の味です。熱々で具沢山のボルシチをはじめ、ロシア名物の黒パンやトロトロの牛タンや蕎麦の実の料理など洗練された味ではありませんがロシアのお母さんが作る家庭料理は意外と日本人の口に合うものが多いのです。過ぎ去ってゆくシベリアの原野をぼんやりと眺め、レールの振動に揺られながらやっとのことで料理を口に運びます。レトロな感じがたまらない木造りの食堂車は鉄道ファンではない私でも鉄道の旅ならではの旅情を味わうことができました。
ロシアはお国柄か女性の社会進出が盛んです。各車両に常駐する車掌さんも、圧倒的にベテランの女性がほとんど。大きな体を左右に揺すりながら狭い廊下を行き来してアレコレ世話をしてくれます。車掌さんを含めて大抵のロシア人の乗客は一見すると強面の無愛想で、いかにも冷たい感じがするのですが、毎日狭い車内で時間を共にし、お互いに顔なじみになって打ち解けてくると、実は大変人懐こく素朴でのんびりした人々であることがわかってきます。
観光地巡りが主なパッケージツアーでは決して体験出来ないようなロシア人との身近な触れ合いはシベリア鉄道ならではの体験でした。(上田)
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