9259キロを走破! のんびりシベリア鉄道の旅②
極東ウラジオストクを出発してから翌日には、ハバロフスク市内を流れるアムール川を渡ります。最近は汚染川として有名になりましたが、オホーツク海に流れ込む真水が、あのオホーツクの流氷の源になっています。更に西へと走り、イルクーツク手前に差し掛かるとまるで海のようなバイカル湖が見えてきます。 何時間走っても見えるのは彼方の水平線。昔の旅人はきっとここが海だと思ったに違いありません。この他にもシベリア大河のエニセイ川やオビ川の大きな鉄橋を渡り、ヨーロッパとアジアの境目であるウラル山脈も越え、いよいよモスクワ手前ではボルガ川も渡ります。道中タンク車と多くすれ違うチュメニ油田、石炭を山積みにした貨車が多い炭田地域を走り、ひたすら車窓の景色と地図を交互に睨みつつ、現在位置を確認していると、どんどん時間が過ぎてゆきます。ボーっと景色を眺めているだけの時間もある一方で、シベリア鉄道の旅は結構忙しいのです。名前は聞いて知っているけれど実際に見るのは初めて、という場所が意外と多いのです。それぞれの見どころに垢抜けた派手さは無いけれど、「ああ、ココがあの○○○なんだ。」という憧れに似た、しみじみとした感動を味わうのがシベリア鉄道の旅なのです。また線路沿いに点在する殆どの家屋は、まるで童話に出てくるような簡素な木造りの小さな家です。これで果たして厳冬期を越せるのかと心配になってしまいます。人々の暮らしぶりを勝手に想像してみるのもなかなか愉しい時間です。
最近は日本では長距離の夜行列車が次々と姿を消していますが、シベリア鉄道はまだ健在です。各地の停車駅ではヨーロッパ系のロシア人だけでなく、モンゴル、日本人にも似た様々な顔立ちの人々が乗車しては、降りてゆきます。現地の人々にとっては我々のように全区間乗車するのはまれで、一定区間のみ乗車する移動手段として活用されています。ちょうど食事時、駅に停車すると乗客は僅かな時間でも我先にと売店に走り、売店前にはアッという間に食料を求める長蛇の列ができます。近隣のおばちゃんたちが手作りピロシキやアイスクリーム、ピクルス、魚の燻製を売る光景もソ連時代から何ら変わっていないようです。
まだまだ元気に活躍しているシベリア鉄道。たまには鉄道に揺られながら、のんびり旅行もおススメですよ。(上田)
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