ウズベキスタンの秋
タジキスタンのペンジケント遺跡へは、サマルカンドから国境を越えて日帰り観光をします。出国審査場で私たちの前に並んでいた地元の方々は、バザールで食料の買出しをしたのか、大量のナンなどの荷物を職員の前で開けさせられ、中身をチェックされていました。私たちも厳しいチェックがあるのだろうかと、内心ドキドキしながら列に並びましたが、手荷物をX線に通すだけで無事に全員通過できました。ウズベキスタンの職員は、一見無愛想で恐そうな雰囲気でしたが、「ボールペンを貸して!」などと私たちに気さくに話しかけながら一人ひとりのパスポート番号や所持金をノートに書き留めるなど、思わぬ触れ合いのひとときとなりました。
ペンジケントの街は国境から約30分のところにあり、途中には向日葵や煙草の畑が広がっています。ペンジケント遺跡は、5世紀~8世紀の間シルクロードの交易商人として活躍したソグド人が住んでいた古代都市の遺跡です。今は日干し煉瓦で建てられたゾロアスター教の寺院や住居の跡がかろうじて残るだけですが、当時はここで賑やかな暮らしが営まれていたことを思うと、ひょっとしたら当時の壁画片や古銭が見つかるのでは?と思わせる場所です。
そして、“青の都”と称されるサマルカンド。レギスタン広場を始めとして、青のタイルが美しいメドレセや廟を見学します。私が一番おすすめの場所は、シャーヒ・ジンダ廟群です。入口の門をくぐり階段をのぼると、ティムールゆかりの人々の霊廟が並んでいます。視界に入る青色が多く、「サマルカンドに来た!」ということを実感できました。
今回、シャーヒ・ジンダ廟群を訪れたのはちょうど夕刻でした。夏のギラギラとした太陽に青く輝くタイルも素敵ですが、秋空のオレンジ色の夕日を背に立ち並ぶ廟群も、映画のワンシーンの中に自分がいるようで、幻想的なものでした。
秋はブドウやナシなどの果実も実りの季節を迎え食卓を飾り、一面に広がる綿花畑の収穫の風景も見ることができ、ウズベキスタンの秋を満喫できた旅になりました。(鈴木寛子)
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