再開!コーカサス三国への旅~乳と蜜とワイン流れるシルクロードの国々~(アゼルバイジャン、グルジア、アルメニア)
■もう一つのシルクロード
このコーカサスの地を通ったもう一つのシルクロードの存在をご存知でしょうか。6世紀、ササン朝ペルシャが課した莫大な通行税を逃れるため、商人はペルシャを避けて中央アジアからコーカサスへと抜けるルートを求め、カスピ海と黒海に挟まれた長さ1,100kmに及ぶ雄大なコーカサス山脈を越えてシリア・トルコへと馬を進めました。現在のアゼルバイジャン、グルジア、アルメニアは宗教も言葉も異なる国ですが、それぞれの名物料理にはシルクロードの国々ならではの味の伝播を感じました。例えばグルジア料理には中国の肉包子や水餃子を思い出させる「ヒンカリ」やイタリアのピザを思わす「ハチャプリ」などがあります。中央アジアから北アフリカまで広い範囲でお馴染みの「ドルマ」は野菜や葡萄の葉で具を包んだ料理ですが、この三国でも様々な姿で登場し、世界各地での思い出話に花が咲きました。
■石油で大発展中、アゼルバイジャンの首都バクー
アゼルバイジャンの首都バクーで現地ガイドが度々口にした言葉が「私たちには将来性がある」でした。世界最大規模の油田およびガス田が存在するカスピ海に面したバクーを起点とし、ロシアを通過せずに直接ヨーロッパへ資源を運ぶパイプラインの建設が進められている今、欧米の直接投資と原油高に伴う多額の収入が国内の経済を急速な勢いで成長させ、バクーは外資のホテルや高層ビルの建設ラッシュ。街の姿は5年前とは全く違いますし、5年後には良くも悪くもまた全く別の容貌をなしていることは間違いないでしょう。国中の道路の整備が大変な急ピッチで進められていることは旅行客にとっては有難い限り。インフレに苦しみながらも人々の眼の輝きには将来への大きな期待を感じられました。一方で、首都を離れれば別の国かと見紛うばかりののどかな田園風景や歴史ある旧市街が広がり、そのギャップがとても印象的です。
■ワインとヨーグルトと蜂蜜の国
今、日本でもグルジアワインが密かなブームなのだそうです。ワイン発祥にまつわる話は諸説ありますが、グルジアのワイン文化は8千年の歴史を持ち、エジプトに輸入されたものをクレオパトラも涙して飲んだとか。一方、同じ葡萄酒でもアルメニアでは「アルメニア・コニャック」と呼ばれるブランデーが世界的にも有名で、こちらは英国のチャーチルが一生分買い占めたいと言ったとかいう逸話も。また、グルジア家庭ではヨーグルトをとても良く食べます。民家のお母さん手作りのブラックベリーの砂糖漬けをかけた「マツォーニ」(酸味の少ないクリーミーなヨーグルト)は、現地では当たり前でも日本では絶対に食べられない忘れられない味です。蜂蜜は三国どこでもよく食べられていますが、特にアゼルバイジャン・シェキのバザールの蜂蜜は黄金色でとろりとしたコクがあり美味でした。
「乳と蜜の流れる地」とは聖書で約束の地カナンを指す言葉ですが、古の人にとってそれは豊かな地を意味したはず。全く別のこのコーカサスの地においてその言葉が自然に思い出され、私一人、心の中で「乳と蜜とワインの流れる地」と呼んでその豊かさを味わった旅でした。複雑な歴史と国際情勢から、何となくキナくさいイメージがつきまとうコーカサスの国々も、実際に訪れれば、派手さはなくとも興味深い歴史と、美しくも素朴な自然、穏やかに積み重ねてきた人々の心豊かな暮らしぶりに魅了されずにはいられません。これから冬が始まりコーカサスの山々は深い雪に閉ざされます。芽吹きの春を待ってぜひまた訪れたいと願う国々となりました。
(長崎 若葉)
コーカサス三国への旅はこちら(2010年春からのツアーは12月上旬発表予定です。)
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