スリランカ、シンハラ王朝の文化遺産シギリヤロック
先日「スリランカ世界文化遺産のすべて9日間」より帰国いたしました。
一年中、温暖な気候のスリランカでは10月というのに、ほぼ毎日30度を超える日が続きました。暑いのは苦手・・・と思われる方も少なくないと思いますが、街中に椰子の木やパパイヤ、マンゴスチンの背の高い熱帯地方ならではの木々が生い茂り、涼しいそよ風と木陰を作ってくれるので、それほど、苦ではありません。
さて、この9日間の日程の中で、私が一番印象的だったのは3日間目に訪れる古代都市・シギリヤという街に聳え立つシギリヤロックの観光です。シギリヤはコロンボから約5時間ほどバスを走らせたところにあります。5時間の移動と言っても、途中、カシューナッツの生産や籐細工で栄える小さな村々を通り過ぎ、ピンナウエラの像の孤児院にも立ち寄り愛らしい小象のミルクやりを見学しながら向かうので移動時間も楽しめること間違いなしです。
シギリヤは、息を呑むほどの迫力ある巨大な一枚岩、そして、なんと言っても、岩山の中腹に描かれたシギリヤレディの壁画の美しさから1982年に世界文化遺産として登録されました。
シギリヤロックの歴史は5世紀後半・シンハラ王朝時代に遡ります。ダートゥセナ王の側室の子として生まれたカッサパはとても野心的でいつか自分が王として即位することを強く夢見ていました。そしてとうとう彼は、王である父親に不満を持つ将軍を集めて父王を投獄、その後、自身がカッサパ1世として王座に即位し、ついには父親殺害を命じてしまいます。しかし、「父を殺す」という仏教徒として最大の罪を犯してしまったカッサパは、その日から後悔の日々を送ります。 自分の犯してしまった罪を償うべく寺院や病院などを建て善政に励みますが罪の意識は消えず、弟の復讐にも怯える日々を送ったと言われています。しかしある時、父王が現在のシギリヤの岩山の上に宮殿を建てることを夢見ていたと知ったカッサパは亡き父の供養の為、宮殿を建造することを決意するのです。宮殿はわずか7年で完成。岩山を3分の2程上ったところにある「獅子の山」の壁面には艶やかな天女の姿が描かれ、それを眺めながら王妃ともに唯一の安らぎの時を送ったと言われています。
王のプール跡や宮殿の本館跡などが残る岩山の頂上までは、シギリヤレディの壁画より少しばかり急勾配な坂を上ったところにある「ライオンの爪」という広場から、さらに鉄の螺旋階段を250段程上らなくてはなりません。しかし、そこから見下ろす景色は絶景です。眼下に広がる豊かな熱帯のジャングルを眺めると、この場所がいかに生きていく上で困難なところであるかを実感します。そんな密林地帯に聳え立ち、来るものを拒むかのような岩山に、わずか7年で、一から宮殿を造ったカッサパ。実際にその地に足を踏み入れると、たった一人の父になんとか赦してもらいらい、もう一度仏教徒として正しい信仰の道を歩んで行きたいという彼の強い心念をひしひしと感じます。
ところで、シギリヤロックの階段は全部で1202段と言われています。その段数、また岩山を上っていくと聞くと、なかなか訪れる勇気が出ない・・・と思われる方もいらっしゃるでしょう。しかしそんな不安を少しでも軽減してくれる頼れる助っ人がシギリヤロックにはいるのです。それがシギリヤボーイと呼ばれる男性陣。「ボーイ」と呼ばれていますが殆どは中年のベテランシギリヤボーイです。彼らは岩山の麓から頂上、そして帰り道まで荷物を支えてくれ、背中を押して「岩登り」のお手伝いをそてくれます(もちろんお心付けのチップは必要です)。中には「ダイジョウブ?」と日本語で話しかけてくるボーイもいます。あまり知られてはいませんが実はスリランカの人々は親日家の方が多いのです。実際に街中でも、日本の成田山の援助で造られた「スリランカ・成田山保育園」の看板や「○○レンタカー」、「○○株式会社」などと書かれた中古車をよく見かけます。学校帰りの子供達とすれ違うと、みんな人懐っこい笑顔で手を振り、通り過ぎていきます。
「スリ・ランカ」とは日本語で「輝きの島」という意味ですが、まさにその通り!黄金海岸の波の穏やかな輝き、南国ならではの太陽の力強い輝き、そして人々の情熱的な瞳の輝きとあちこちでこぼれる優しい笑顔の輝き。まさにスリランカは「輝きの島」という国名にぴったりのキラキラとした「輝き」が溢れる素敵な国でした。(三橋)
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コメント
シギリヤロックの天女の壁画、懐かしく拝見致しました。登る階段も大変なんですよね。私も貴社のツアーに参加させて頂、スリランカを満喫致しました。また、添乗員さんの神業としか思えない、その日毎の瓦版、今も大切に保管し楽しんでおります。また、添乗員さんの手作り料理を堪能したことを思い出しておりました。いろんな旅行社を利用致しましたが、貴社の旅行が一番思い出深いものとなっております。現在諸般の事情で旅行出来ませんが、次回旅行する際も絶対貴社にご厄介になるつもりでおります。その際はよしなに。
投稿: 五十嵐 範明 | 2009年11月21日 (土) 16時30分
五十嵐 範明様
コメントを頂戴いたしましてありがとうございます。
ご参加された当時の旅の日記を現在も大切にお持ちでいらっしゃるということで、同じ添乗員と致しましても大変嬉しく思います。
スリランカは他の国と比べると観光地などあまり知られていない部分があるかと思いますが、沢山の魅力に溢れた素敵な国だなぁと私も感じました。
今後とも宜しくお願い致します。
投稿: 三橋愛子 | 2009年11月30日 (月) 14時29分