2009年11月27日 (金)

フランスの魅力再発見!西フランスの教会巡り

先日、「サン・サヴァンと西フランス・ロマネスク紀行」の旅から帰国しました。フランス、サン・サヴァン・シュル・ガルダンプ教会
ツアー名を聞いて「おお、サン・サヴァンか!」と思えた方はなかなかのロマネスク芸術通ですね。
そうでなければ、世界遺産やフランスがとってもお好きな方でしょうか。

このコースでは、数多くのロマネスク様式のフレスコ画や彫刻、教会が残るフランスの中でも西部、ワインで有名なボルドーからスタートし、各地に点在する教会を巡りながらジャンヌ・ダルクで有名なオルレアンへ。
秋の初め。徐々に色付くブドウ畑(コニャック村も通過!)を車窓に走りました。

世界遺産にも登録されている、サン・サヴァン・シュル・ガルダンプ教会は、聖堂内のフレスコ画が有名なところです。
つい数年前に修復(洗浄)作業が終わり、とても12世紀のものとは思えない、鮮やかな色彩が甦ったところ。
やわらかな秋の日差しが堂内をそっと照らして、静かな空気の中で見上げるフレスコ画の美しさは例えようがありません。

もうひとつ、すばらしいフレスコ画に、ノアン・ヴィックのサン・マルタン教会のフレスコ画がフランス、ノアン・ヴィックのフレスコあります。棟方志功のような力強いタッチの線、画面いっぱいに溢れるダイナミックな人物像。小さな聖堂を所狭しと描かれています。
徳島県の大塚美術館にタイルに焼いた複製画がありますが、小さな教会ながらも本物の持つ圧倒的な存在感は、ここでなければ味わえないと感じました。

個人的に、今回の旅で気に入っているのが、ロワール川の東岸にあるサン・パリース・レ・シャテルのサン・パトリック教会の彫刻たちです。
柱の上部の柱飾り(柱頭)の彫刻は、通常高い位置にあるため双眼鏡を使わないとよく見えないものが多いのですが、ここは柱が短く、2メートルくらいのところにあり見やすいのもうれしいところ。
なにより、ユーモラスで温かみがあり、そしてユニークな彫刻のモチーフに、これは何だろう?と思いをめぐらせるのが楽しいのです。

フランス、サン・パリーズレ・シャテル左の写真はそんな彫刻の一つですが、何に見えますか?
「え?豚じゃないの??」といわれそうですが、「竪琴を弾くロバと弦楽器(レベッカ)を弾く猿」という説が有力です。
旧時代(キリスト教から見て)の楽器を弾く動物は、キリスト教に照らされる前の世界の象徴とも言えるものです。
でも、そんな知識がなくても「なんだか面白いなー」と思えるのがこの教会の彫刻たちの親しみやすいところ。稚拙に思える描き方も、その理由のひとつなのかもしれません。

このツアーは、ロマネスク芸術の深遠を行く旅ですが、同時に、フランスの小村を訪ねる旅でもあります。
刈り入れが終わった畑や牛や羊を見ていると、大都市にはないフランスの違った魅力を知る10日間だったと感じます。(山岸)

>フランス・ロマネスクの旅はこちら
※2010年出発は2009年12月上旬頃発表の予定です。

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