聖なる河、ガンジス河
インドより帰国致しました。今回のツアーでは、長い年月をかけて山を少しずつ掘り進めて造られた人類の宝と言うべき壁画や彫刻が現存するアジャンタやエローラの石窟寺院や、大理石で造られた世界一美しいと言われるタージマハル、青空とのコントラストが素晴らしいピンク色の町ジャイプール、そして列車の車窓からゆったりとした雄大な風景を楽しんだりと、まさに見所満載の13日間でした。
インドといえばガンジス河、そして牛、というイメージをお持ちの方が多いかと思います。牛はヒンズー教では最高神シヴァの乗り物として多くの人々から崇められています。そのため、牛が道路の真ん中で寝ていようが喧嘩を始めようが、誰一人文句を言いません。牛が車道の真ん中を悠々と渡り、その間バスや人間はじっと待つ。もちろん我々もそういう場面が何度もありました。
そして聖なる河ガンジス。インドではこのガンジス河で日の出前に沐浴をすることが、穢れを祓う一番良い方法とされています。今回はそんな沐浴の風景をご紹介したいと思います。
朝5時過ぎ。まだ薄暗い町の中をガートと呼ばれる港に向かって歩きます。後ろからなにやら大きな声を出しながら歩く人達がいました。まるで歌のように聞こえていたのは実はお経で、彼らはお経を唱えながらガートに向かって歩いているところでした。ここベナレスでの毎朝の光景です。
ガートに到着するとさっそくボート乗り込み、いよいよガンジス河のボートクルーズに出発です。ガートを離れ、まずは上流にむかって進むと、まだ薄暗い中、灯篭のようにお花と蝋燭が河に流れていて幻想的でした。ちょっとガンジス河に手を入れてみると意外と温かいのです。現地のガイド曰く、「30年前にこの河から採った水が家に置いてあるが、未だに腐っていないんだ。なんといっても聖なる河だからね!」と自信たっぷり。薄明るくなる中更に進んでいくと、パンパン、という音が聞こえ衣類をガートに叩きつけて洗濯している、その向こうには腰まで河につかり、手で水をすくって頭の上に掲げて沐浴する人たちの姿が見えました。中には見られていることに気づいて、手を振ってくれたり、派手に水をかける仕草をする人も。
あるガートに立ち寄った時のこと。1人のお客様の「沐浴をやってみたい」という言葉をきっかけに次々と数人が靴を脱ぎ、膝の上まで河に入りました!これでも立派な沐浴になるのです。河に入ることができない人は、手で水をすくって頭や首にかけるだけでも沐浴したのと同じご利益があるといわれています。ほとんどの方が「沐浴」を体験し、再びボートへ。今度は流れに乗って下流へと向かいます。そしてまさにボートを再出発させたとき、雲の中から光が!なんというタイミング! 朝から雲が多くて心配していましたが、ボートから素晴らしい御来光を拝むことができました。静かに流れるガンジス河とまぶしい朝日を見ていると、ヒンドゥー教の方々の敬虔な気持ちを感じることができたような気がしました。この後、ヒンドゥー教徒の為の火葬場までご案内してボートクルーズは終了。一日の始まりがこんなにすがすがしいものであれば良い一日が送れるに違いない、と確信しました。
毎回たくさんの新しい発見があるインド。この地では必ず驚くべき光景や新しい価値観が発見できるのではないかと感じる13日間でした。(佐々木)
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