2009年12月 2日 (水)

聖地サンティアゴ・デ・コンポステラへの道(スペイン)

Photo_5  先日、「北スペイン、巡礼の道を歩く」のツアーより帰国致しました。
 このコースは、ローマやエルサレムと並ぶキリスト教の三大聖地となっている、サンティアゴ・デ・コンポステラを目指し、その主要巡礼路をバスと自らの足で辿って行きます。サンティアゴ・デ・コンポステラのサンティアゴとは、キリストの弟子のひとり聖ヤコブのことで、彼の遺骸が発見された場所として崇められているのです。私たちが訪れたのは、秋の終わり。今回辿る路は、大聖堂が建つ大きな街もありますが、そのほとんどが小さな村と村とを結ぶ素朴な田舎道。派手さはありませんが、巡礼歩きでも、車窓からも、優しい赤や黄色に包まれた、しっとりとした秋の風情を楽しむことができました。

 Photo_4 さて、このコースの見所はなんといっても、「巡礼路」を歩くということにありますが、
通常の観光ツアーに比べ、人々との交流の機会が多いというのもこのツアーの特徴です。世界中から集う、それぞれの動機や思いを胸に抱く人々が同じ目的地を目指す途中で出会い、語らう。私たちも今回のツアー中、巡礼路で、観光途中の街で、トイレ休憩で立ち寄った巡礼路沿いのカフェで、多くの巡礼者の姿をみかけ、また時にお互い片言ながらに言葉を交え語らう場面も多くありました。
 少し話は逸れますが、この「巡礼の道」には、巡礼路に沿うように教会や巡礼宿が建てられており、その場所その場所で「スタンプ」をもらうことができます。この「スタンプ」が巡礼路を歩いたという証明になり、サンティアゴ手前100km以上を歩いたひとには巡礼証明証コンポステラーノも贈られます。今回のコースでは、何度か巡礼路を歩く機会はあったのですが、100kmには到底及ばす、寒空の中大きな荷物を背負って黙々と歩く巡礼者を前にするとなんとなく肩身の狭い思いでいました。けれども、すれ違う巡礼者や町の人々は「ブエン、カミーノ!(よい巡礼を)」とさわやかに声をかけてくれ、嬉しいけれど、どこかくすぐったいような気分になったのも今ではいい思い出となっています。Misa
 旅の途中で、今回が二度目の巡礼歩きだというある日本人の女性に出会いました。彼女は、一人旅で何回かに分けて巡礼路を歩き、「自分の巡礼」を完成させるのだと話され、個人的にはとても強く印象に残りました。もちろん、100km以上歩くことを目標とできればよいけれど、「巡礼」にルールはなく、自分の中でこの巡礼をどう位置づけるかが大切なのだと感じました。巡礼のゴール地点にあたるサンティアゴ・デ・コンポステラでミサに参加した際、感極まり嗚咽を漏らす巡礼者の姿も目にしました。彼には彼なりの、そして私たちには私たちなりの巡礼だったのだと、今一度旅を思い起こし、清々しい気持ちで巡礼の旅を終了することができました。(弥永)

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