聖地ベナレスで迎えるお正月
今回のハイライトはやはり聖地ベナレスで迎えるお正月。まだ薄暗く霧の立ち込めるなか、ホテルを出発。時間がたつにつれて明るくなり、ガンジス川のガート(木浴場)に着く頃にははっきりと周りが見える程。まだ朝早いというのに、ガートではすでに沢山の人が沐浴中。神様に祈りを捧げ、いろんなものが混ざり合ったかのような薄茶色のガンジス川で身を清めます。水はそんなに冷たくないようですが、沐浴が終わった人からは湯気が立ちあがっていました。そんな光景をしばらく眺めたあとボートに乗り込み、今度は川の上からガートを眺めます。ガンジス川沿いには大小のガートがずらりと並び、沐浴をする人、ヨガの準備をする人や洗濯をする人などを見ることができます。時折、観光客の若者が沐浴している姿も見かけ、私達はボートからたくさんの声援を送りました。夜明け前の霧がかった風景は、とても幻想的でベナレスのエキゾチックな雰囲気をより強めてくれているような気がしました。最後に穏やかな流れを持つガンジス川に、良い一年になるようにとの願いを込めて花で造られた灯篭を流し、同じように流された灯篭の赤い光がゆらゆらと流されていきました。今年一年も良いことがたくさんありそうな、そんな気持ちになりました。
また、今回のツアーで一番思い出深い場所は、エローラ石窟寺院群。世界遺産にも登録されているエローラ石窟寺院は、5世紀~12世紀の間に造られた仏教、ヒンドゥー教、ジャイナ教の石窟寺院や修道院などが崖を削って造られたもの。石を削ったものであるのに、まるで木造建物のように彫刻がなされ、柱や梁に素晴らしく精巧な模様が彫られています。この建物を彫るのにどれだけ時間がかかったか・・・と、その職人技と神に対する強い思いに感嘆せずにはいられません。エローラ石窟寺院の中で一番大きなカイラーサ寺院は、ヒンドゥー教第一の神シヴァ神の住むカイラス山を表した寺院。高さ32メートル、幅45メートル、奥行き85メートルという、とても巨大な寺院です。寺院内には、ヒンドゥー教の神々や動物の彫刻があちこちに彫られ、じっくり見学したら一日でもかかってしまいそうな程。ここで、お勧めのビューポイントをご紹介。寺院横にあるちょっとした丘を上がり、カイラーサ寺院を上から眺めて下さい。上から見ると、本当にこの巨大な寺院が崖を削って造られたというのが実感できます。掘り出された岩の量は300万トンというのも納得です。
今回は特に年末であったからか、学校もちょうど休みにあたり、郊外遠足に来ていた子供達にたくさん出会いました。一生懸命英語で「名前は?」、「どこからきたの?」「インドはどう?」と次から次へと質問攻め。あっという間に取り囲まれ、記念写真を撮ったり握手をしたり、お話をしたりと遺跡とは違う、楽しみも味わえました。どこに行っても人懐っこく話しかけてくれるインドの人々。時々ちょっとだけうっとうしくなることもありますが、そんなインドの人々との交流も楽しい思い出の一場面となるかもしれません。(前田 潤子)
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コメント
素晴らしいブログを読ませていただきありがとうございます。
これからも更新頑張ってください。
投稿: はちべぇのイロイロ十色 | 2010年1月21日 (木) 15時47分
コメントありがとうございます。添乗員見聞録はこれからも毎営業日更新ですので、楽しみにしていて下さい!!
投稿: 前田 潤子 | 2010年1月21日 (木) 18時49分