「ベルベル人と砂漠のリズム」
先日、『エキゾチック・モロッコ』9日間の旅から帰国しました。モロッコもただいま冬。砂漠の朝晩は冷え込みましたが、お天気に恵まれたおかげで、日中は時折汗ばむこともありました。 最近、日本でもモロッコ料理にかかせないタジン鍋や、バブーシュという革靴、グラスやランプなど、モロッコにちなんだ品々を街中で目にする機会が増えました。どこにでもありそうでなかなかないユニークな品々は、この国をそのまま表しているかのようです。
フェズから南下していくと、バスから見える景色も急に変化します。砂漠のイメージが強い方は、「こんなに自然豊かな国だったなんて」と驚かれる方も少なくないです。砂漠に近づいてくると出会う機会が増えるのがベルベル人です。モロッコ・アルジェリア・チュニジアには、ベルベル人と呼ばれる先住民が今も暮らしていて、なかでもモロッコは人口の30?40%を占めており、多くのベルベル人が暮らしています。
砂漠で1泊する私達を迎えてくれたオーベルジュのスタッフたちも、皆ベルベル人でした。アラブ人との混血を繰り返しているため、見た目で判断することは難しいのですが、砂漠と共に営みを続けてきた彼らは、独特の雰囲気を纏っています。サハラの日の出を見るため、暗い慣れない砂丘に足をとられて息を切らしながら進む私たちを率いるベルベル人のリーダーは、まさに滑るように砂丘を歩いていました。毎日歩いているとはいえ、軽やかな足取りに驚かされます。インディゴで染めあげた鮮やかな青い衣装を纏った彼が時折佇む姿を見ていると、砂漠に溶け込んでいくようで、この地で遥か昔から営み続けてきた彼らの時を垣間見た気がしました。「この青色素敵ですね」と言うと、「そうだろう。これは私たちの色なんだ」と本当に誇らしげに語っていました。
夕食の際、彼らは太鼓や鈴、歌ではなく声音だけを使った独自の音楽を演奏してくれました。じわじわと砂塵の底から響いてくるようなリズムに、そこにいた皆が聞き入ってしまいました。ここがどこで今がいつなのか、なんだかどうでもよくなってしまうほど魅了された一時でした。彼らに流れる時と、私達の中にある時間の感覚は、まるで違うのだなあと感じたのでした。
旧市街と新市街が混在する街、驚くほど多様な自然とともに育まれている営み、そこで暮らす人々。不可思議なのに調和していて、普段見慣れた短針と長針の傾きではとても計りきれない時が自由自在に幾重にも流れているようでした。(菊池)
モロッコへのツアーはこちらをご覧下さい。
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