2010年3月 8日 (月)

ナイルが生んだエジプトという国

Hatshepust

先日、古代エジプト・ヒエログリフの旅より帰国致しました。

この旅は古代エジプト研究家の松本弥先生と一緒に古代遺跡を巡る特別企画でした。エジプトは古代より一大文明が栄えた地として知られていますが、今回の旅では、松本先生の解説も手伝ってか、改めて古代エジプトの奥深さを実感しました。素人の私達が普通の感覚で古代、古代と呼んでいるのはせいぜい紀元前後のギリシア・ローマ時代でしかありませんが、エジプトで初めてピラミッドが建設されたのは何と紀元前2600年頃。ギリシアでパルテノン神殿が建設され、ローマ街道が各地に延びていった時代から更に2000年以上も前のことです。そんな時代にエジプト人達は既に高度な知識と技術を駆使して、現代まで残るほど強固な神殿やピラミッドを造り上げていたのです。

Tanis

この旅で私が一番印象に残ったのは、カイロの北に位置するタニス遺跡です。カイロの渋滞を抜け、ナイル川の河口に向って北上すると、広大なナイルのデルタ地帯にはオレンジ畑と共に特産の大きなキャベツを栽培する緑豊かな田園風景が広がっています。エジプトではイチゴなどの果物をはじめとして野菜や米まで栽培していて、作物は意外と豊富な土地なのです。ところが少しでもナイル川を離れると、両岸には乾燥した砂漠がすぐそこまで迫っていて、実際に地図をみると国土の殆どは不毛地帯であることがわかります。昔から水の豊富なナイル川に沿って人々が住み着き、そこで文明が生まれ、現代でさえ、緑の畑や牧草地、町や村々は川沿いに密集している風景。全ての人間の営みはナイルを中心に廻っていて、人々はナイル川なくしては生きていけないのです。
まさに「エジプトはナイルの賜物」であることをつくづく実感します。
タニス遺跡は巨大なオベリスクやヒエログリフが刻まれた石材がゴロゴロと無造作に転がっているだけ。あまり人の手が加えられておらず、背景に近代的な建物が一切無い、遺跡らしい遺跡です。砂埃の風に吹かれながら歩いていると、足下から新たな出土品がコロッと出てきそうな期待感に包まれます。当時外国であったメソポタミアの神々のレリーフなども残っており、海に近い交易都市として商人で賑わっていた時代を彷彿とさせます。
いつも楽しげに遺跡を案内する先生曰く、柔らかく優しい彫刻のラインは石工たちの精神状態を表し、安心して仕事に没頭することができた、政治が安定していた時代なのだそう。神殿に残る彫刻のスタイルだけで、2000年以上も前の世の中が想像できてしまうとは・・・。エジプト考古学を専門に研究されている先生ならではの興味深い解説と、足早に遺跡を歩き回り、つぶさにレリーフを観察している先生の姿が印象に残りました。

「エジプトはナイルの賜物である。」
エジプトの遺跡を見物し、土地の作物を食べ、南から北へエジプトを見て回った後の感想です。(上田)

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