地中海世界は古代より多くの勢力が栄枯盛衰を繰り返した。
人や物が往来したから、その土地土地には幾重もの文化が重なる。
陽光が煌き、遥か古代より人々を惹きつけて止まない地中海世界で、
今回は「パックスロマーナ(ローマ人の繁栄)」をテーマに、
アルジェア、チュニジア、リビアの北アフリカ3カ国を周遊した。
ローマ人の繁栄なら、本家のイタリアのローマにあるフォロロマーノやコロッセウム、
パンテオンなどを巡るものではないかとお思いの方が多くいらっしゃると思う。
確かにそうだ。やはり、ローマ人の繁栄を巡るには、まずはローマだろう。
しかし、歴史を紐解くと、古代ローマ帝国がヨーロッパ世界はもちろんのこと、
現在のトルコなどの西アジアや中近東から北アフリカ諸国にかけてもその勢力を広げたことが判る。
旅はまずアルジェリアから始まった。
アルジェリアというと、まだまだ観光業が発展途上中で、
日本人がそんなには渡航をしていない国のひとつではないかと思う。
しかし、首都のアルジェは港湾都市として発展しており、
思ってた以上に近代的だった。
この国で取上げたいローマ遺跡は「ジェミラ遺跡」だ。
アルジェリアの北東の山間部に位置しているこの遺跡は、
元々は紀元後1世紀にクイクルムという名前で町が造られた。
その後、東ローマ帝国の支配を受けたのち、アラブ人が侵入してきた際に、
アラブ語で美しいという意味のジェミラという名前が付けられた。
山間部に町が造られた為、遺跡観光は斜面を下って、そして、また上るという順序だ。
ジェミラ遺跡の町の始まりは斜面の一番下の部分で、
町が拡張される毎に上方の部分に広がっていった。
リビアのレプティスマグナ出身のローマ皇帝セプティミウスセウェルス帝の時代に大幅に町はその恩恵を受け、彼を祀る大神殿も建てられた。
遺跡の保存状態が良いのはもちろんのことだが、
この時期に観光をすると野花が咲いていて、
文字通り花を添えてくれるので得した気分になる。
また、併設のモザイク博物館も必見だ。
館内は決して広くはないのだが、壁一面にモザイクが展示されていて、
さながらモザイクの洪水のようでもある。
一つ一つのクオリティが高いので、観察するようにじっと見たい。
当時の生活の様子や狩猟の様子がモチーフになっているものが多い。
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