砂漠の民ベルべル人のお宅を訪問!(モロッコ)
サハラ砂漠の移動は4WD。ブオーンと砂煙を上げて、道なき道を進みます。運転手は頭にターバンを巻いたベルベル人。360度砂しか見えず、方向感覚を失いそうになりますが、彼は慣れたもので躊躇なくスピードを出して走ります。着いたところはあたりに何もないテントの前。ここが今回お邪魔するベルベル人のファティマさんのおうちです。「ベルベル」とは思わず口に出して言いたくなってしまう面白い名前ですが、先史時代から北アフリカ一帯にいたベルベル語を話す複数の民族のことで、後からこの土地に来たローマ人によってバルバロス(わけの分からない言葉を話す人たち)と呼ばれた言葉が起源のようです。
さて、ファティマさんのテントに靴を脱いであがります。テントの屋根はヤシの葉の上にヤギの毛で覆っています。中には家具は何もなく、下には古着を利用して編まれた赤や緑や黄色のカラフルな敷物。アツアツのミントティーをごちそうになりながらお話を聞きました。ファティマさんは夫と9歳から13歳の3人の子どもたちと5人でここに暮らしています。主な仕事はヤギの牧畜。以前は移動して暮らしていましたが今は定住しているそうです。私たちが訪れたときには子どもは一番上のお姉ちゃんしかいず、下の9歳と11歳の弟たちはここから2キロくらいにある学校へ行っていました。お姉ちゃんは学校へ行かずに織物や、お母さんのお手伝いをしているそうです。
テントの前にはヤシでできた小屋がありました。そこは炊事場と水の貯蔵、織り機が。そこで面白いものを発見!2本の棒にくくられた袋、よく見ると毛が生えています。これはヤギのお腹にミルクを入れ、振ってチーズを作るそうです。カラフルなポリタンクたちは井戸水を入れるためのもので、1キロ離れた井戸までロバを使って水を汲みに行きます。この地域はオアシスの村であっても水道が家に引かれておらず、家の外へ水を汲みに行く家がまだまだたくさんあるそうです。そんな貴重な水を使ってこのミントティーを淹れてくれたんだ、と思うと急に手に持っている飲み物が非常に尊いものに思えてきました。
その小屋の裏からなにやら音がするので行ってみると、そこには羊の毛を刈っているご主人の姿がありました。使うハサミは糸きりバサミの巨大版のようなもの。ちょきちょきと時間をかけて切ります。(余談ですがモロッコの羊は私たちがよく知っている羊に比べてしっぽが長いのです。行かれた際はぜひチェックしてみてください。)
この家の暮らしには電気も水道もガスもなく、私たち日本人がここで暮らすには一日で根をあげてしまいそうですが、昔からこの生活を続けているファティマさんたちにとっては何でもない当たり前のこと。厳しい砂漠という環境の中をたくましく生き抜く彼女たちは今日も自然と共に生きています。(名倉)
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