2010年5月26日 (水)

アフロディテ生誕の地キプロス

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先日、「南北キプロス島を極める 8日間」より帰国致しました。
キプロスはトルコの南にある四国くらいの大きさの小さな島国ですが歴史の皮肉により、今はイスラム教、トルコ系の北とギリシア正教、ギリシア系の南と国家が二つ存在しています。
キプロスには、古代ギリシア・ローマの遺跡も多く残っています。そして中世の十字軍遠征に出ていた英仏の王様が船でエルサレムへ向かう途中で立ち寄ったりすることもありました。さらにはオスマン・トルコの支配の時期もあり、そのときにキリスト教徒とイスラム教が一緒に生活する時代がやってきたのです。その為か、小さい島ですがたくさんの歴史と文化が、ミルフィーユの薄い生地のように重なっています。

ギリシア神話のアフロディテが生まれたといわれる神話や海賊やらオスマン・トルコや十字軍をはじめとして、美しい海を舞台にした逸話は尽きません。

アフロディテ生誕の海岸はあまりにも美しく、かの有名なボッティチェリが「ヴィーナスの誕生」のシーンにこの島をモデルにした気持ちがよくわかりました。そこで、ヴィーナス(アフロディテの英語読み)を立たせて記念に一枚撮ってまいりました。この海岸にある石を拾うと、女性の願いが叶うらしいです。結婚とか、子宝とか…。私もピンク色の石をこっそり拾ってみました。

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素敵な海の他に、絶対に見逃せないのが宗教美術です。ギリシア正教は、キリストや聖母マリア、聖人達をリアリティに描くことで偶像崇拝になることを恐れ、なるべく非人間的に平面に描くイコンを発展させてきたのですが、キコス修道院に今残るイコンやフレスコ画の数々は平面的だからこそ感じる独特の迫力があります。私はこのイコンを見るたびになにか荘厳な気持ちになったり、胸が締め付けられたりしてしまうこともあります。平面的だからこそ、描いた人の強い思いがイコンからにじみ出てくるのでしょうか?

そしてもうひとつ、この島の文化と歴史の深さを感じられるのは北キプロス側です。南キプロスとの間には「国境」ともいえるグリーンラインがあり、パスポートがないと行き来できません。逆を言えばパスポートがあれば気軽に行き来できるようになりました。
北側はイスラム教徒、ムスリムが住んでいますので、祈りの場はモスクです。彼らは大きなキリスト教のカトリック教会だった建物をそのままモスクに転用してしまいました。外見はヨーロッパで見慣れた教会なのに、中へ入るときに靴を脱ぎ、絨毯が敷かれた床にぺたんと座ると、大きなシャンデリアが垂れ、祈りの場が作られています。教会だったときには脇であった壁がイスラムのお祈りの方向であるため、絨毯も斜めに敷かれています。
このような建築が今でも現役で使われている光景は、この島の深い歴史が、確かに人々の中に生きているからでしょう。

見所たっぷりで、そして実は食事もおいしい、素晴らしい島、キプロス。
小さな島ですが、大きな印象が残るに違いありません。(齊藤晃)

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