2010年7月29日 (木)

グランドティートンが“グランド”な理由(アメリカ西部の国立公園)

002  先日、「アメリカ西部国立公園物語~十大国立公園制覇~」の添乗より戻りました。

 地球の鼓動と微生物の営みが生み出した神秘の風景を堪能できるイエローストーン国立公園。国立公園ではないものの、西部劇の荒野に迷い込んだような先住民ナバホ族の聖地モニュメントバレー。氷河に削り取られた圧巻の景色と巨木マリポサグローブの森を訪ねるヨセミテ公園。地球の営みの3分の1、19億年という時間の流れが刻み込まれたグランドキャニオン。などなど、このツアーの見所を数え上げればきりがございません。

 しかし、敢えて一箇所のみ取り上げるとしたら、どこにしましょう? 私は、今回グランドティートン国立公園を押したいと思います。最近はテレビで取り上げられることが増えたこともあり、アメリカ西部の国立公園の日本での知名度はずいぶん高まったように思います。しかし、やはりそれはヨセミテやグランドキャニオンやイエローストーンといった国立公園への話題がほとんどでしょう。

 しかしながら、今回ご案内したお客様に「今回一番印象に残った訪問地はどこですか?」と訊ねれば、

 きっと何人ものお客様から、こうお答え頂けるはずです。「うん、それはやっぱりグランドティ-トンだね」と。

001  地図の上ではあまりに有名なイエローストーン国立公園の南の端にへばりついているように見えるグランドティートン国立公園は、それこそイエローストーンの付録のようにも一見思えるのですが、実際に足を運びその地を訪れれば、このグランドティートンのみのためにアメリカを訪れることでさえ価値あることだと思い始めてしまうから不思議です。今回の旅行の現地ガイドさん曰く「本当は、ここだけで数日は滞在したいね」と。

 公園内で最も有名なジャクソン・レイク・ロッジはぜひ訪れたい所です。宿泊せずとも、巨大なガラス張りの窓を持つロビーから、思わずため息の出るような景色を楽しむことができます。白銀を頂いたロッキー山脈を背景に、春を迎えた西部の自然が躍動します。はやる気持ちを抑え、ロビーから外の階段を降り、ガラスの向こう展望テラスへ。

 さっそくかわいらしいリスが楽しげに足元を走り回り、私たちを歓迎してくれました。テラスの少し先には春を迎えた新緑の草原が遠くジャクソン湖まで広がります。はるか前方の湖畔には、肉眼では豆粒のようではありましたが、間違いなくエルク(鹿の一種。ムースとも呼ばれる)が悠々と歩いていました! 双眼鏡を片手に皆様で「どこ? どこ?」と盛り上がります。すると今度は、すぐ目と鼻の先の草むらから、気持ちの良い春の陽気に誘われたのか、キツネがひょっこり顔を出しました。ガイドさんの「これは珍しい」との案内にお客様も身を乗り出して眺めます。どうやらキツネは、繁みの中にある野鳥の巣にある卵を狙っているのか、野鳥の夫婦と威嚇しあっています。力では相手にならない野鳥も、キツネのすぐ側に留まり、「グワッ! グワッ!」と必死の抵抗を見せるのです。「生き物地球紀行」や「地球!ふしぎ大自然」などTVで見ていた世界が、もう手の届くほどの距離で繰り広げられていることに感動したのは、私だけではなかったはずです。

 ひとしきりグランドティートンの大自然を堪能した後は、テラスの柵に寄り掛かったり、ベン003 チに腰掛けたり、コーヒー片手にロッジのロビーに座ったりと、ゆっくりのんびりその吸い込まれるような美しい風景をお楽しみ頂きました。

 ロッキー山脈も、ジャクソン湖も、広がる緑の草原も、リスもエルクもキツネでさえも、グランドティートンで見られる一つ一つの要素は、広大なアメリカ西部に点在する他の国立公園でご覧頂ける見所と比べてインパクトに欠けるかもしれません。イエローストーンのように、虹色の神秘的な泉やど派手な間欠泉が吹き上げるわけでもなく、グランドキャニオンのように何億年もの歳月が生み出した圧倒的な景観があるわけでもないのです。けれども私たちが訪れたその日、その一時だけは、空は青く晴れ渡り、白銀のロッキー山脈を白い雲が飾り、柔らかく心地よい風が草原を駆け抜け、そこに生きる動物たちがひょっこり顔を出したのです! その一瞬、その光景こそは、他のどんな国立公園よりも美しく迫り、また印象深く私の心に残りました。「わぁ、やっぱり“グランド(偉大な)”だなぁ」と。(田村)

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