2010年8月13日 (金)

マウンテンゴリラトレッキングの一日(ウガンダ)

 「ゴリラは人間の持つ病気にかかりやすいので、発熱、咳や下痢など、感染症の症状がある方は、トレッキングに参加できません。」そんな注意事項がトレッキング開始前にレンジャーから言い渡される。もちろん私達も楽しみにしていたマウンテンゴリラとの対面に備え、体調万全でこの日を迎えた。

004_3  快晴のもと、いざマウンテンゴリラに会いにトレッキングスタート!トレッキングにはレンジャー数名と参加者一人に対して一人ずつのポーターが同行する。参加者はゴリラの群れ一つに対し、一日8名しか受け入れていない。最近では半年先の予約を取るのも困難なほどの人気だそうだ。森の中を歩く事10分、さっそく最初の難関が現れた。川である。経験豊富なレンジャーたちが手馴れた様子で大きな岩を集め、あっという間に足場を作ってくれた。いきなり探険気分を味わった我々は一気に気分が高揚し、更に森の奥へと進む。

ゴリラは一日に数キロ、餌をあさりながら毎日居場所を変えるそうで、そこを突き止めるの002_3 はひとえにレンジャーの感性にかかっている。レンジャー達は、下草に覆われた獣道を丹念に探り出しては立ち止まり、山刀を振るう。耳を澄まし、全身の知覚を総動員しながらゴリラを探知しようと努めている。アフリカの男が狩りをしたり、動物を探したりする姿ほど、惚れ惚れするものはない、と私は思う。食うか食われるかの真剣勝負の張りつめた空気があたりを支配するのである。生きるか死ぬかの、単純にして明解な自然界の美学がそこには見事に具現されているのだ。

 にわかに先頭の動きが慌しくなってきた。ついにゴリラを発見したようだ。思わず叫びたくなるが、静かに静かに…。まず姿をあらわしたのは、やんちゃな子供たち。プロレスごっこをしているようで、ゴロゴロそこらじゅうを転げまわっていた。追いかけるように回り込むが、動きが激しいのと、鬱蒼と茂る草葉で、ハッキリ顔が見えない。彼らは転がりながら森の奥へと消えていった。次に登場したのは親子のゴリラ。まだ生まれたばかりの赤ちゃん003_3 ゴリラはお母さんの背中に登っては落ち、登っては落ちを繰り返していた。その愛らしい姿に皆口元が緩みっぱなしだった。更に奥にはたくさんのゴリラがいた。人間を怖がるそぶりも見せない代わり、さりとて全く意識していないでもなく、時折こちらをチラチラと眺めながら盛んに木の葉を食べていた。子供たちが母親の腰にまとわりつく姿や、好奇心を隠そうともしない表情や仕草を見る限り、ゴリラの子は人間の子とかなり共通点があると思うけど、こと成獣となると顔や胸のあたりは灰色だし、頭は先が尖って肩が盛り上がっている。聞く所によれば、ゴリラは人間とDNAが2パーセントしか違いが無いそうだが、成獣は人間とはもはや全く別の生き物だ、という感じを受ける。そして15歳のシルバーバックが登場。オスのゴリラは13歳ごろから成熟し、背中の毛が黒色から銀色に変化し「シルバーバック」と呼ばれる。そのシルバーバックがボスとなり、グループを率いる。悠々と歩く後ろ姿からはボスの威厳たっぷりだったが、その後木から落ちてオナラをしている姿は何とも愛らしかった。

 観察に夢中になっていたら、いつの間にか私たちがゴリラたちに囲まれていた。本来7001_3 mの距離を保たなければならないが、向こうから来たら話は別だ。手を伸ばせば触れられる程近くに寄ってきてくれた。草を食べる姿、木登りする姿、じゃれあう姿…観察制限時間の1時間は文字通りあっという間に過ぎてしまった。今回は歩き始めてわずか30分程で出会えたが、日によっては見つけるのに時間がかかることもあるらしい。現に我々と一緒に参加したドイツ人カップルは昨日も参加したそうだが、会うまでに約7時間以上歩いたんだとか…。

 森の王者マウンテンゴリラ―――――とはいえ、総個体数は現在わずか720頭あまりで、王者の栄光をほしいままにするどころか、地球上でその絶滅が最も危ぶまれている種のひとつでもある。そのマウンテンゴリラの半数が生息するのがこのブウィンディ原生国立公園だ。この森で観察できるのは6グループで、一日8名まで。我々が見たルシェグラグループは2002年から餌付けされ始めた18頭からなる群れで、幸運な事に私達は群れの全頭を見る事ができた。ゴリラはほんの160年ほど前に初めてヨーロッパに紹介され、人々に凶暴な獣のイメージが植え付けられた。しかし本当の彼らは、高い山岳地帯の森の中で草を食べながら、集団でひっそりと暮らしている平和主義者だった。そして心温まるその子育ての様子は、人間の家族と何ら変わりがなかった。「アフリカの水を飲んだ者は再びアフリカへ帰る」という諺がある。何度も帰りたくなるような心を満たすものがそこにはあるからと、本能的に悟るのかもしれない。叶うものなら、再び彼らに会いたいと強く願い、水を飲んだ。(村上)

アフリカのご旅行はこちら

|

アフリカ情報」カテゴリの記事

世界の自然情報」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。